元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

韓国映画なんて、もう沢山。

2006-04-18 06:38:51 | 映画周辺のネタ
 すでに“韓流ブーム”は下火になりつつあるようだが、本日はその韓国映画について書いてみよう。最初に断っておくが、私は「韓国映画だから、その時点でダメだ」とか「この演出家はサヨク(orウヨク)だから最初から否定する」とかいった、偏狭な態度とは無縁でありたいと思っている。作った奴がどこの国の者だろうが、出ている俳優がどんな「くされ外道」だろうが、演出家の私生活がズタボロだろうが、出来た作品が面白ければそれでオッケー。反対に、いくら作者が品行方正な野郎でも、作った映画がカスなら完全否定するのみである。

 韓国映画にも確実に良い作品がある。巨匠イム・グォンテグ監督の傑作「風の丘を越えて/西便制」や「春香伝」は一見の価値はあるし、朝鮮戦争の実像をニュートラルな視点で描いた同監督の「太白山脈」は歴史好きには必見といえる。イ・チャンドン監督の「ペパーミント・キャンディー」は痛切きわまりない秀作で、ホン・サンス監督「豚が井戸に落ちた日」もシビアな快作。我が国でもリメイクされたホ・ジノ監督の「八月のクリスマス」は、誰にでも勧められる恋愛映画の佳篇である。

 しかし、上にあげた作品は、すべて国際映画祭などでインターナショナルな評価が「確定」している。良質な外国映画として、どこの国でも公開されてしかるべきだと思う。だが、韓流ブームが巻き起こってからの日本の劇場(特にミニシアター)でスクリーンを占拠していた韓国映画の数々は、大部分が低劣なシロモノばかり(まあ、全部は観てはいないけど ^^;)。クサい設定と泥臭い展開とご都合主義的な結末、もはや香港映画でさえ恥ずかしくて作らないような三文芝居を得意満面で製作して、それが本国ではヒットしているらしい。問題はどうしてその「この程度」のシャシンを我が国が多数輸入・配給しなければならなかったのか・・・・ということだ。

 単純に考えれば、そんな「低劣韓国映画」を観て喜んでしまう日本の観客が大勢いることが原因だろう。憂国系の掲示板などでは、よく“韓流ブームに踊っているのは在日のオバチャンだけ!”なんてフレーズを見かけたが、在日の人たちだけではあんなブームにはならない。“韓流ブームなんて存在しない。オレの周りでは見かけない”と決めつけるのも早計。ちなみに私の周囲でも韓流スターにハマっている女性(在日ではない)はけっこういた。“韓国映画特集上映”みたいなイベントがあると、劇場内は満員電車みたいな大混雑になることも珍しくない。韓流ブームに踊っていたのは、やっぱり“日本のオバチャン”であるのも事実だろう。そんな層が存在するから、有象無象の韓国映画も輸入されてしまう。

 ではどうして「この程度」のシャシンに日本のオバチャンはハマるのか。それはズバリ“韓流スター”である。つまりは、出ている俳優の存在感だけでくだらない内容の映画を2時間保たせてしまう、そんな“スター万能主義”みたいなスタイルを恥ずかしげもなく前面に出していること、これがオバチャン達にはたまらない。逆に言えば、俳優にスター性がなければ箸にも棒にもかからない。

 韓国の俳優には“スター性”があること・・・・は事実である。オバチャン達からキャーキャー言われている男優はもとより、女優のレベルは(整形云々を差し引いても)昔からかなり高い。でも、そんな“スターにおんぶに抱っこ”の状態で映画を量産するのは、世界的に見て古色蒼然としたスタイルであることは論を待たない。

 “スターが出てくる古臭い三文ドラマ”でしかないほとんどの韓国作品に我が国のオバチャン達が過剰反応してしまったのは、日本の映画界がスターの育成を怠り、下世話な観客を惹きつけておくことに失敗し、まんまと韓国映画ごときに話題を持って行かれたからだと思う。日本映画は質的には世界有数だが、万人を魅了する映画スター(特に若手)はいなくなってしまった。今からでも遅くはない。韓流スターに負けない人材を探して育てるべきである。

 それと、日本も国家が映画産業を助成した方が良いと思う。韓国は国家が補助金出して学費無料の国立映画学校まで作って、やっと「あの程度」だ。対して日本は現状でもレベルが高い。国家がカネ出せばもっと優秀な人材が集まる。そうなれば多くの韓国映画は“忘却の彼方”になってしまうことだろう。

 いずれにしろ、この“韓国映画ブーム”は完全に終わって欲しいものだ。韓国からは昔のように“本当に見応えのある映画”だけを少数輸入するだけで結構。韓国作品が必要上に幅を利かせると、ヨーロッパ映画や韓国以外のアジア映画やマイナーな邦画などの公開の場が少なくなる。映画ファンとしては面白くないからね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする