元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「0:34 レイ_ジ_34_フン」

2006-01-04 06:59:53 | 映画の感想(英数)
 (原題:Creep)営業時間後のロンドンの地下鉄駅構内に取り残されたヒロインが味わう恐怖の一夜。早い話が、怪奇映画の定番の舞台である幽霊屋敷を地下鉄の駅に移したという、そのワン・アイデアだけで成り立っている映画だ。

 監督はこれが劇場映画デビュー作の若手クリストファー・スミスで、あまり背伸びせずに“一発芸”みたいな構図のホラー編を無理なくこなしている・・・・と言いたいのだが、殺人鬼のプロフィールに少々凝りすぎの感があり、それが中盤以降のテンポの遅さに繋がっている。

 脇のキャラクターも不必要に多く、話がストレートに進んでいかない。ここは単純に、敵役をスティーヴン・キングの小説に出てくるような“未知の怪物”に設定して、主人公が迷路のような地下道を逃げ回るだけの展開にした方がよりコンパクトにまとまったはずだ。同じ地下鉄ネタでは「交渉人 真下正義」の方が上である。

 主演は「ボーン・アイデンティティー」などのフランカ・ポテンテだが、ドイツ女優らしいゴッツい風貌と傲慢な雰囲気に当初は違和感を覚える。だが、これがラストの扱いの“伏線”になっており、キャスティングの狙いとしては悪くないと思った(笑)。
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「コーチ・カーター」

2006-01-04 06:57:02 | 映画の感想(か行)
 (原題:Coach Carter)高校バスケット部の新任コーチと生徒達の奮闘を描く実録スポ根もの・・・・のようで、実は“社会派”という、一筋縄ではいかない映画だ。

 主人公が赴任する学校はバスケはそこそこ強いが、実体は生徒の殆どが黒人の底辺校。卒業後に大学に進む者よりも刑務所に入る奴の方がはるかに多いというシビアな現実がある。指導者としては生徒を“スポーツ馬鹿”にして将来の可能性を狭めるよりも、勉学をおろそかにせずに良い成績を収め、大学に進学させることが第一義的であるはずだ。そこでサミュエル・L・ジャクソン扮するコーチのカーターは生徒や保護者たちとクラブ活動と勉学の両立を約束させる。

 ところが、スポーツを宣伝材料としか思っていない学校当局や無理解な地域住民はカーターと激しく対立。映画は、彼らと主人公とのヒリヒリするような葛藤を容赦なく描く。

 トーマス・カーターの演出は力強く、体育館の閉鎖で彼が住民から糾弾される場面や、ドロップアウトして街のゴロツキどもと付き合うようになった生徒が、凄惨な事件を目の当たりにしてショックを受けてコーチのもとに舞い戻る場面など、ドラマティックな展開も難なくこなす。

 肝心のバスケットのシーンもまったく手を抜いておらず、緊迫した試合での駆け引きは手に汗握るほどだ。

 文武両道の教育の原点社会問題とからめて描ききった野心作で、観る価値は大いにある。越境入学やスポーツ留学を何とも思わない我が国の“スポーツ馬鹿学校”の幹部にも見せてやりたい。
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