気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

綺羅 栗木京子

2005-05-13 12:53:00 | つれづれ
入口に夫を待たせて靴を買ふ降誕祭の電飾うつくし

人生はたのしと胸にくり返す文章問題解けぬ子とゐて

要らぬ札つぎつぎと抜き捨ててゆく春の家族のトランプゲーム

薄紙をかざせばたちまち燃ゆる恋ゆめみるのみに一夏(いちげ)また過ぐ

負け馬に乗り換へほくほく往く生もたのしからむがわれは勝ちたし

(栗木京子 綺羅 河出書房新社)

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ご存知のとおり栗木京子は美人である。結婚生活にも恵まれている。京大理学部を卒業した理科系。夫(お医者さんらしい)に守られながら、ひとり子を育て、しかし「もっともっと」「まだだめ」と思う気持ちが伝わってくる。これもポーズなんだろうが。

河野裕子の歌に「こんなにも勉強せぬ子がわが子なり呆れて腹たて牛膝(ゐのこづち)蹴る」というのもある。恵まれているように傍から見える母親もそれはそれでつらい。良くも悪くも、子供と母は別人格と自分に何度も言い聞かせなければならない。ああ。


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