気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-10-21 18:37:25 | 朝日歌壇
マルコポーロという紅茶の味が違う暗い水路の生家をみた後(のち)
(東京都 上田結香)

ひつじ雲仰ぎてしばし坂に佇つ木曽の馬籠の石疊道
(伊那市 小林勝幸)

学校田刈りて校舎にかかる稲佳き香のなかや授業弾めり
(埼玉市 酒井忠正)

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一首目。マルコポーロという紅茶の名に魅力を感じた。紅茶が遠い地で栽培され、運ばれてくる長い時間と手間を思う。選者の高野公彦氏は「ヴェネツィア旅行以後、紅茶の味が変化した不思議」と評されている。私は最初読んだとき、作者が久しぶりに生家を訪ね、その変貌に驚いて紅茶の味も変わって感じられたのかと思った。何度も読むと、高野説が正しいような気がしてきた。
二首目。特に何も言っていない歌なのだが、作者の感想がなく事実だけを述べたところが良いと思う。読者も一緒に並んで、その場所でひつじ雲を見ているような気にさせられる。
三首目。学校で授業の一環として、稲の栽培と収穫がされているのだろう。実は、稲の香というのを知らないのだが、何か香ばしくていい感じだ。