気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人7月号 7月の扉

2013-06-30 21:45:38 | 短歌人同人のうた
ゴミ漁る黒豚は生をゆるされて耳ひらひらと朝の路上に

婚礼の儀式にであふ あてやかなサリーのをんなのかたち良き耳

(染宮千鶴子 耳を病む)

奥つ城の葉桜盛ん人の魂けものの魂に耳欹てよ

耳虱素指に取りやる春の夜を猫はほどけて耳あづけくる

(高島藍 耳欹てよ)

神の声を聞きたるは無し生物が発する音と風が鳴る音

ただいまの知らせは聞かないことにする電波が運びしあれはそらみみ

(谷口龍人 そらみみ)

おおちちの銀の耳掻き鍵をせぬ小箱のなかににびいろ纏う

母の手の結び癖もつ名古屋帯の耳のへこみに届くゆうかげ

(梶田ひな子 逃亡の耳)

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短歌人7月号、7月の扉。今月のお題は「耳」

離れ住むふたりの日々のながければ耳のかたちを思ひだせない
(近藤かすみ 雲ケ畑まで)