気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号 同人のうた その3

2013-01-23 01:03:57 | 短歌人同人のうた
木の箱は茶色の紐にむすばれて父の遊びし古道具のこる
(木曽陽子)

人魚姫うたかたとなりて消ゆることうらやみてをり夜半の寝覚めに
(有沢螢)

沿道を占むるセイタカアワダチサウ祖父母の知らぬ黄そよぎをり
(洞口千恵)

静謐は金属のような音がすと午前三時の耳ひとつ冴ゆ
(内山晶太)

離れ住む子の鳥影やひそやかに恋染紅葉の影が深まる
(梶田ひな子)

工事終え窓を開ければすらすらと秋の七草口からこぼるる
(岡田経子)

車椅子のわれに近づく看護師が徐々におとしてゆく腰の位置
(椎木英輔)

膝の上(へ)にひらけば雪野手ぶくろを買ひにちひさき狐が走る
(春畑茜)

ふるさとの竹群今も暮れやすく童子のわれをかくまひをらむ
(大谷雅彦)

しづかなる冬の眠りに入らんむとすメタセコイアに淡き陽の差す
(渡英子)

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短歌人1月号、同人1欄より。

鴨脚(いちやう)と記せば街の黄葉は急かるるやうにそよぎはじめる
(近藤かすみ 短歌人1月号)