気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-01-14 18:38:25 | 朝日歌壇
図書館で読む「みだれ髪」前髪を伸ばすか切るか迷っています
(岡山市 酒井那菜)

仁左衛門やはり京都が似つかはしまして顔見世鴨川時雨
(紀の川市 橋本哲次)

飛鳥行き枯野の中をかめバスのたった五人の乗客になる
(奈良市 宮田昌子)

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一首目。口語の明るい歌。作者はきっと若い人だろう。与謝野晶子の「みだれ髪」は、当時にしてはセンセーショナルな内容で読者を驚かせたが・・・。下句、素直に言葉が出ていて好感を持った。
二首目。南座の恒例顔見世興行のことを詠っている。私は残念ながら、一度も観たことがないが、招き看板があがるのは、京都の初冬の風物詩。下句の顔見世鴨川時雨の漢字の連続が効いている。
三首目。奈良には「かめバス」というのがあることを知った。きっとのんびり走っているのだろう。乗客も少ない。枯野ではあるが、なにか温かいものを感じる。

『みだれ髪』の文庫本(ぶんこ)かばんに放りこみアキコに逢ひにゆく夏のあさ
(近藤かすみ 短歌人2012年9月号)