気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-01-30 19:34:06 | 朝日歌壇
洗いたての小さな服が風に舞うどうぞゆっくり大きくなって
(茨城県 飯田礼子)

家の裏ばかり見え来る電車なり椅子の上にまた椅子など積まれ
(亀岡市 児嶋きよみ)

百点に二点足りない人生の二点にいつもこだわつてゐた
(霧島市 久野茂樹)

***********************************

一首目。素直でよくわかる歌。子育ての時期は、済んでしまえば短い期間なのに、そのときは毎日同じことの繰り返しで、パッとしない感じがする。子供好きな人もいればそうでない人もいて、子供好きの方が世間的に受けがよい。私はこの作者のように思えなくて、しんどかった。しかし孫のことになると、
「何とまあ小さき産着みづいろの麻の葉もやうを朝日に干しぬ」
などという歌を作っている。自分が子育てしているときは、万事に余裕がなく、短歌を作るなど思いも寄らなかった。
二首目。電車から見る景色というと広々した景色がよく詠われるが、実際には住宅の密集したところの裏を通ることも多い。下句の「椅子の上にまた椅子」の具体がよい。
三首目。これも納得できる歌。作者は完ぺき主義なのだろう。九十八点なら十分いい成績なのに、まだ気に入らない。足りない二点をなんとかしようと思ってしまう。私も似たところがあって、同窓会にも行かなくなってしまった。これは治らない病気みたいなもので、無理をするのは禁物。ほかの場所で、好きなことを見つけるのがいいかな?

画像は「ラナンキュラス」
季節の花300さまのサイトからお借りしています。