気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号 同人のうた その1

2012-01-20 00:44:27 | 短歌人同人のうた
もう戻りこぬ時惜しむこともなく子は水色のランドセル選ぶ
(鶴田伊津)

駐車場にみじかく見上げそのままに置き去りにした月だと思ふ
(阿部久美)

燃やすゴミ両手に提げるぬひぐるみは燃えさかるべし明日の今頃
(泉慶章)

鳥の屍のなかにも空があるといふいかなる鳥がその空をゆく
(原田千万)

冬の夜のわれを慰め来たるらしピンポンダッシュで逃げ行く誰か
(高野裕子)

木犀のはなびら零れ止まぬ日よ二十七歳のままの和也よ
(山下富士穂)

特急の車窓より見ゆ曲がるときわれの来し方行く末のいろ
(北村望)

とある日の夕ぐれ 榕樹の蔭にきてしばし憩ひしポル・ポトならむ
(長谷川莞爾)

すべからく過去は過去とし前向きの怒りを今日の力となせり
(水谷澄子)

顔文一致などとは言うがさてわれはいかな顔していかな歌詠む
(生沼義朗)

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短歌人1月号。同人1欄より。