気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号 同人のうた その3

2012-01-25 21:39:08 | 短歌人同人のうた
ほろほろとひこうき雲がほどけゆく空へとかざす秋の手のひら
(林悠子)

はんとしと書けばやさしき四文字にて春夏秋を通ひぬひたに
(松圭子)

放射能ふくめる雨に怯えつつ濡れたる犬をねんごろに拭く
(小川潤治)

午後の陽に触れつつ散りし山茶花の候文のような鴇いろ
(佐藤慶子)

高き山の上まで電気は運ばれて我が家のトースター毎朝動かす
(篠原和子)

抱かれて奏でられるは如何ならんコントラバスの息の密けさ
(森澤真理)

奥村晃作をすこし上手くして平凡にしたやうな歌をつくる歌人あり
(山寺修象)

放射能濃度濃くする水たまり跨ぎて行かな時雨降る街
(加藤隆枝)

秩序よく家たちならぶ景見つつありてはならぬ妄想湧くも
(蒔田さくら子)

D坂に日はあたりつつ翳りつつ観潮楼に左千夫・鉄幹
(藤原龍一郎)

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短歌人1月号、同人1欄より。