気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 2月の扉

2012-01-28 23:07:46 | 短歌人同人のうた
旅行けば『お~いお茶』なる空き瓶に秋の終はりの潮騒聴かむ

『evian』の薄き容器に星の砂、在らざる娘の部屋の窓際

(西王燦 ポリエチレンテレフタレート)

遠からぬ春と聞く日は鮮しきみづのキャップを開けるあかるさ

身の内に花の根ひろがる感じしてのどを伸ばしてする喇叭飲み

(阿部久美 喇叭飲み)

猫除けのためにたっぷりと水入れたペットボトルがさ庭に並ぶ

牛乳より水の値段がなぜ高いのかペットボトルに物申しけり

(室井忠雄 特許)

アヴィニョンで一ユーロの水を買いしこと過ぎにし旅の秋をおもえば

西陽さす草のあわいに空っぽのペットボトルは照りいでにけり

(木曽陽子 一ユーロの水)

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短歌人2月号、2月の扉より。今月のお題は「ペットボトル」

ペットボトルは現代的な題である。こんなに普及するようになったのは、ここ10年くらいのことだろうか。10年ほど前、カリフォルニアへ旅行したとき、まわりの誰もがペットボトルを持って、ラッパ飲みをしているのを見て驚いたが、いまでは何の不思議もない。私の母が生きていたら、さぞ嫌がるだろうと思うが。