気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-10-10 19:21:17 | 朝日歌壇
少しづつ母のどこかがこはれゆく歌壇俳壇ひらかずなりぬ
(長野市 懸展子)

上見れば秋の雲なり山見れば夏の雲なり葛の咲くころ
(高松市 菰渕昭)

城の下(もと)塩町魚町豆腐町紺屋川には金魚が泳ぐ
(大和郡山市 四方護)

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一首目。年老いて、だんだん衰えて来られたお母さまを哀しむ歌。以前は楽しみにしていた歌壇俳壇に興味がなくなってしまったことは、体力気力の衰えの兆候だろう。そばにいて、ちゃんと見て具体的に例を挙げられるご家族がいることは幸せだと思うが・・・。
二首目。夏から秋へと映る季節感をうまく言い表わしている。情景がひろびろしていて爽やかだ。
三首目。寺山修司の「大工町寺町米町仏町老母買う町あらずやつばめよ」を思い出した。この作者は大和郡山の方なので、結句に金魚が出てくる。生活感が溢れる。下句、紺屋川に泳ぐ金魚を思うと色彩的にも対比が美しい。