気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人10月号 秋のプロムナード その3

2011-10-01 23:36:20 | 短歌人同人のうた
江戸前のにぎりをいうもさりながら大阪寿司の穴子がうまい

まずもってます寿司、酢飯と自己主張しない鱒との相性がよい

(吉岡生夫 寿司談義…吉岡の吉は土の下に口です。字が出ません)

ひとり去りわれのみとなりし店内に「ほろ酔いセット」運ばれて来ぬ

力尽きて落ち来し蝉のかすかなる夏の命を草上に置く

(藤本喜久恵 蝉)

夏休みの始発電車の愉しさはリュック背負へる少年と父

中空(ちゆうくう)の茎あれば七つの穴をあけ笛つくるこころ昔も今も

(和田沙都子 大阪へ)

彫られたる墓石おもての「ハツ」の文字ちちが呼びゐしこゑのかさなる

公園口信号をわたる炎昼の墨をながせるやうな蝉声

(紺野裕子 白い日傘)

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短歌人10月号。「秋のプロムナード」から。
それぞれの個性がみんなちがっているのが、愉快で短歌人的と思う。