気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-09-01 22:20:44 | 朝日歌壇
竜宮よりもどりし程のさみしさの中に座してる昼寝よりさめ
(赤穂市 内波志保)

みな休む日に休み得ぬさびしさがひとり休める日にもどり来る
(東金市 山本寒苦)

蝶一頭ただそれだけの重さほど花びら揺れる木立の陽の中
(広島県府中市 内海恒子)

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一首目。昼寝から覚めたときのぼんやりした感覚がうまく言い表されている。折角いい夢を見ていたのに、覚めてしまって残念な思いが伝わる。
二首目。みんなが休む日に休まず働くさみしさと、ひとりだけ休んで仲間に加われないさみしさと、別のさみしさがあるように思う。一首の中に複雑な感情がうまく納められている。作者の寒苦というお名前はペンネームなのだろうか。ちょっと気になる。
三首目。蝶は一頭と数えるということを改めて気付かされた。一頭ならば、けっこう重さがありそうだ。一頭という言葉を使ったことで、蝶の重みに真実味が出たと思う。

朝日歌壇の歌は、わかりやすく一読でだいたいの意味を掴むことができる。それに引きかえプロ歌人の歌のむつかしいこと。いまある歌集を読んでいるが、悪戦苦闘。歌人にもいろいろな人がいる。私は、一読してわかる歌が良いと思うが、わかりやすすぎて歌に深みの欠けるのはいけない。むつかしいものだ。