気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-07-13 23:11:53 | 朝日歌壇
紫陽花の樹雨涼しや境内の隅にちひさき地蔵目を閉づ
(宗像市 巻桔梗)

ゆうすげの風吹きぬける講義室漣のごとペン走らせて
(柏原市 芦田恵美子)

体内に二重らせんの階段を畳み込みたる銀河を持てり
(下関市 久保智子)

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一首目。この季節にふさわしいキレイな歌。樹雨(きさめ)という言葉に惹かれた。紫陽花と地蔵の取り合わせも面白い。
二首目。爽やかな歌。講義室でペンを走らせるのは、どんな人たちだろう。講義室という言葉から、学んでいる人たちの年齢はけっこう高いのではないだろうか。カルチャーセンターなどへ行くと、みな熱心に講義を聞く。一言も聞き逃さないように集中している。学生のころ、このくらい熱心に勉強していればと思うことしきり。自腹を切ってお金を払って学ぶと、力の入り方がちがう。「漣のごと」という比ゆも新しい。
三首目。遺伝子を乗せた二重らせんが体内にあることは、知っているが、それを銀河を持つと表現したのが斬新。

百円を入れて預ける傘の首玄関ホールに並びてをりぬ
(近藤かすみ)