気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-10-08 21:39:36 | 朝日歌壇
仲良しの夫婦みたいと子の向けしカメラに並びきルイズ湖畔に
(神奈川県 宮地英子)

帰り来てちいさく灯す家明かりただいまと言いおかえりと言う
(夕張市 美原凍子)

秋風がわたりゆくとき二十世紀梨の香りはうすみどり色
(広島県 今井洋子)

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一首目。家族で海外旅行していて幸せそうに見えるが、実は夫婦仲が良くないのだろうか。カメラを向ける子の言葉から、そうとも推測できる。ほとんどの夫婦は、いつも仲良くしているわけには行かないだろう。仲良しの夫婦みたい…という言葉から、いろいろ想像させてくれる深い歌。

二首目。作者はひとり暮らしなのだろうか。帰ってきて家に灯がともっていないことをさみしいという考え方もあるが、ひとりが気楽と思う人なら、それは楽しいこと。家に灯がともっていて、だれかが待っていると、急いで夕飯を作ったり、煩わしいこともある。人の幸福感はそれぞれだから、羨んだり干渉することのないようにしたいものだ。

三首目。今は梨の美味しい季節だが、豊水や幸水といった色も味も濃い梨が多く出回って、うすみどり色の二十世紀梨は、やや押され気味。その名前とともに郷愁をさそう。