気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

歌集 流轉 前登志夫

2007-10-06 20:33:16 | つれづれ
青空のふかき一日ことばみな忘れてしまひ青草を刈る

山人(やまびと)とわが名呼ばれむ萬緑のひかりの瀧にながく漂ふ

蛇苺踏みてあゆめりそのかみは剽盗(ひはぎ)なりしか菩薩なりしか

わかき日は駱駝を欲しとおもひしにやさしき瘤のごとくに老いぬ

雪雲(ゆきぐも)のあかく焼けたるゆふまぐれ天狗のむれと呑む鬼ごろし

(前登志夫 流轉 砂子屋書房)

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題詠ブログで歌を詠む方が忙しいが、やはり読まないと出来ないので、歌集も少しずつ読む。
いままで余り読んでいなかった前登志夫の歌集。
奈良県吉野の山の中に住んでおられて、自然と共に暮らしていて出来る歌の数々。
飄々としていて、人生を達観しているように見える。