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美しいピアノに涙:キース・ジャレット「The Melody At Night, With You」

2006-11-10 00:58:30 | ♪音楽好き

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
ウェブ上の仮想のお店「モンブラン」ですが、もし自分がお店のオーナーになったら、いいBGMを流したいな・・・って、たくさんの方が思っていることと思います。

ミッシャ・マイスキーからケミカル・ブラザーズまで、わりと守備範囲広く聴くタイプの私ですが、今日は静かな夜によくかけるCDを1枚ご紹介します。

ジャズピアニスト、キース・ジャレットの1999年のピアノ・ソロアルバム、
「The Melody At Night, With You」です。

キース・ジャレットは、ジャズ界では知らない人はいないと言っていい、天才ピアニストです。
1983年に「キース・ジャレット・トリオ」を結成してから、20年以上ジャズトリオのトップを守っています。

以前札幌に住んでいた頃、80年代末くらいだったと思いますが、トリオのコンサートに行きました。
キースというとその演奏スタイルがとみに風変わりなことで有名で、ジーンズにスニーカーといったラフな格好で演奏するのですが、興がのってくると椅子から中腰になり、体をくねらせつつ、何ともいえない”うなり声”をあげながら弾くのです。
あれは一度見たら忘れられない・・・。(^^;
もちろん、演奏は最高なんですが。

そんなキースですが、実は90年代後半から数年間、「慢性疲労症候群」という病気にかかり、音楽活動を中断していました。
現在は回復し、またトリオでの演奏を再開したそうで、本当によかったです。

このアルバムは1999年の作なので、キースがようやく病気から立ち直った頃の作品だと思います。
長年ベースとドラムと一緒にトリオでやってきていましたが、これは全てピアノソロのみ。
しかも聴きやすいスタンダード曲を集めてあります。

上にも書いたように、かつてのキースは情熱を感じさせる演奏スタイルでしたが、ここでは静かに誠実にピアノと向かい合い、一つ一つの音をいつくしむように、丁寧に丁寧に弾いています。
自分がピアノという美しい音を出す楽器を心から愛していて、
またピアノが弾けるようになったことを、感謝しながら演奏しているようにも感じます。

10曲が収められていますが、私が最も好きなのが、
1曲目の「I Loves You Porgy」(愛するポーギー)。
初めて聴いた時は、恥ずかしながら感動して思わず涙を流してしまいました。

キースのCDはたくさん持っていますが、このピアノの音色の美しさに、昔ライブで見たキースの、心から音楽を愛している人が放つオーラが、病気を乗り越えてもっと高みにのぼったんだな・・・と思いました。

キースはまた、長年のトリオで、来年の春に日本公演にやってきます。
新宿公演のチケットを2枚買いました。
ぱぴりおも、結婚前に友人と東京でキースのトリオのコンサートを見ています。
それから10年以上ぶりになりますが、今度は私とぱぴりおで、一緒に見に行くことができます。

難病と戦い、乗り越えてまた、愛する音楽に打ち込めるようになったキース。
来年の春、東京で彼のピアノを聴きに集まる、たくさんの人々の中に、
同じように重い病気を乗り越えて、また彼の演奏を生で聴くことができるようになった私も一緒にいられることが、ほんとうに嬉しく、楽しみです。

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追加(2006-11-10):
なお、このアルバムには、キースの有名な「うなり声」はほとんど入っていませんので、初めて聴く方もびっくりしないと思います。(^^;


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご無沙汰でございます~ (りりあ)
2006-11-11 23:03:43
なかなか下山できなかった仕事の山でしたが、どーにかこーにか下山できる目処が立ってきました(←というわけで未だ山の上ですが(苦笑))

キース・ジャレットの名を見たとき、真っ先にあの唸り声が頭によみがえってきましたよ~(笑)
あの声は…ちょっと他の人には再現できないですよね

私はジャズではヴォーカリストのジミー・スコットが好きですね~。
お顔はかな~りシュールなおじいちゃんですが、あの人の声は天使そのものだと思います♪
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りりあちゃんへ (ヴィシア)
2006-11-11 23:51:54
りりあちゃん、コメントありがとう!
山越えは下山のときに気をつけろと申します。
最後まで無理せず、お体大事にねー。

そうなんですよ、キースのCDの多くにはあの声が入っちゃってるんで、初めての人に勧めるにはちょっと悩むところですね・・・。(^^;
何でしたっけ、昔歌謡曲のレコードにお化けの声が入ってるとかいないとか、ウワサがあったじゃないですか。
あんなふうに勘違いされるかも・・・。

ジミー・スコット、前にも勧めてくれてましたよね。
確かに、歌を歌うために生まれてきたような声ですねぇ。
カラオケボックスを避けて人生を歩んできた私には、なんともうらやましい才能です。(^^;
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コンサート (harry)
2006-11-12 09:41:09
10年以上ぶりのコンサートって
ドキドキしますよね。
楽しみですね~。

私はこの方は名前をきいたことが
あるだけなのでさっぱり想像がつきませんが
難病を乗り越えてまた演奏できるということは
本当に嬉しいでしょうね。
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harryさんへ (ヴィシア)
2006-11-12 21:21:19
harryさん、コメントありがとう!
まだまだ先の話なので、チケットをなくさないようにしなくてはね~。

キース・ジャレットというと、病気の前、活発に活動していた頃は、即興演奏などをわりと得意にしていたので、アルバムによってはジャズマニア向けに限られるような難解なものもあります。
でも、このCDはピアノソロだけですし、スタンダード曲集なので、どなたにも聴きやすくて、それでいて上質なムードのある、BGMにもぴったりのいいCDだと思います。

個人的には、今活動しているジャズピアニストの中では、彼が一番美しい音を出しているんじゃないかなーと思っています。(うなり声は別ね・・・)(^^;
以前行ったチェリスト、ミッシャ・マイスキーの公演の時にも思いましたが、こういう方たちはほんとに地球の宝だと思いますねー。

来春、久方ぶりの再会を、ひそかに客席からお祝いさせてもらおうと思っています。(^^)
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