BIKEBIND自転車日記ブログ2

BIKEBINDの自転車日記ブログの移転先。過去が消えるのも忍びないので…。

2012 ボントレガー・ロードバイクホイール続き

2011-09-11 22:52:00 | 自転車
ふむ、ふむふむふむ。全くのモデルチェンジとなるボントレガーのカーボンリムホイール・アイオロスシリーズ。『D3』(デュアル・ディレクショナル・デザイン)と名付けられた新世代リム形状が特徴です。


























http://www.rouesartisanales.com/article-53429482.html
http://velonews.competitor.com/2011/09/bikes-and-tech/eurobike-tech-a-wheelset-duel-bontrager-thrusts-and-zipp-paries_190744
http://roadcyclinguk.com/news/eurobike-bontrager-d3-aero-wheel-range-unveiled.html



D3と名付けられていますが、このデザインのキーポイントは二つです。ホイールの前側と後ろ側での空気のながれを整えることに注力しています。ここではホイールという言葉は常に片輪のことを指すことにします。

従来は縦横比、3対1という比率以上になればエアロ効果が発生できると言うことで自転車のエアロ対策というのは、全面投影面積を削減することに終始していました。それを覆したのがカーボンホイールのパイオニア・ジップです。新型に搭載されたリムは太く幅広で、空気がホイールの後ろ側を通過しても気流を乱しません。これはカムテール理論という自動車などでは昔から知られた理論であり、トレックもTTバイク、スピードコンセプトに採用されているものです。

このD3リムもほぼそれと同じです。D3はタイヤを一体として考え、通常ならタイヤの性能を発揮させるのにはタイヤの方が広くなるかまぼこ形が正しいのですが、空力に重きを置いたこのホイールは、タイヤとほぼ同じくらいの幅にリムを広げ、ホイールのサイドで生じていた乱気流の発生を防いでいるのです。

この形状はタイヤのグリップ力やクッション性を多少犠牲にしていると思います。それと引き替えに高い空力性能と剛性を手に入れたのでしょう。どちらが悪いと言うことではありません。選択ですね。

これは自転車に乗っている時にもっとも多いと言われる横風にも有効で、細長い形状を持ってエアロ効果を謳っている製品に比べ、ハンドルと取られることが少なくなります。仮想的に長くなっている意味がここで発揮されます。

ちなみにジップは自社製タイヤのディンプルパターンのタンジェント(チューブラー&クリンチャーあり)がありますが、404の登場によって真価が発揮されるでしょう。

なんかジップの後追いのようなことばかり書いてしまいましたが(苦笑)、それほど404はマイルストーン的存在だと私は思っています。ですがボントレガーがジップ以上に優れている点ももちろん多いです。それはハブ。DTスイス製の新型カーボンハブを使っています。

いくつかの紆余曲折を経て、ボントレガーは再びDTハブを採用するに至りました。おそらく上位機種ではカーボンセラミックモデルも存在するでしょう。DT強し! です。でもなあ……、世界がGOKISOのハブを知ったら……なんて考えてしまいます(笑)。そしてスポークもDT製で、セルフロックタイプのニップルを使っています。

リムも6ピースを組み合わせたもので、トレックカーボンフレームと同じOCLVにて作られています。ここがキーポイントで、ジップは体重制限があるのですが、ボントレガーにはないのです! ここはカーボン技術者の違いなのでしょうか? いやあ単純に考えれば、カーボンホイール一本でやってきたジップのほうが先んじているような気がしますが、アメリカ高級スポーツバイク最大手にはとんでもない数のカーボン技術者がいるのでしょうがないのかも知れません。

噂によるとフルカーボンリムの新型は、20万円を切るモデルも存在するとか。

2012年、期待して良いホイールです。



2012 ローバル

2011-09-11 22:17:00 | 自転車
ローバルがスペシャライズドに買収されてからずいぶん経ちました。当初はもっと野心的に展開する予定だったと思いますが、そういう展望に沿っていないのが現状です。







ハブ




リム
http://www.bikerumor.com/2011/09/08/first-look-2012-roval-control-trail-sl-wheelset/#more-35089

ローバル・コントロールトレイルAL

リム カーボン(内幅21㎜)
ハブ DTスイス カーボンシェル 15ミリスルーアクスル
スポーク DTスイス
重量 1280グラム



となっています。バルブが着いていますから、チューブレス対応なのは間違いないでしょう。驚きなのはこの重量でオールマウンテン対応ということ。ヘンな話、カンパ・ハイペロンよりも軽いのに大丈夫なんでしょうか? もちろん大丈夫なんでしょうけど(笑)。

ローバル、というかスペシャライズドはDTの製品を多く採用していて、ハブ、リム、スポークすべてが同社製というものもテストしていました。こりゃ厳しい。……ローバルは本当に名前だけっぽいですね(苦笑)。

今回もハブとスポークがDT製なようです。性能は悪くないんでしょうが、惹かれる人はどれだけいるんでしょうね?

天下のスペシャライズドです。シューズやフィッティング、タイヤなどは高い評価を得ているのですから、ホイールだって出来るはず。もう少し頑張って欲しいです。


2012 ジャイアント・ホイール

2011-09-11 01:02:00 | 自転車
すわて! やっとここまでたどり着きました。遠かった……。普段とあまり変わらないはずなのに、なんででしょう?

結構前から出ていましたので驚きは少ないですが、私はまた違った意味で驚きが隠せません。それはまた後で。

ということで何度目でしょうか? ジャイアントが本格完組ホイールに着手しました。今回はタイヤをも自社製にして、上位機種にはかなりの率でスペックインされていますから、本気なのでしょう。








P-SLR1エアロホイールシステム 
19万4250円
リム スカンジウム×カーボンハイブリッド(50㎜ハイト、クリンチャー)
ハブ DTスイス・6000系冷間鍛造
スポーク DTスイス・エアロスポーク
重量 1575グラム





P-SLR1 ホイールシステム 
12万8100円
リム スカンジウム、後輪は非対称デザイン(21㎜ハイト、クリンチャー&チューブレス)
ハブ DTスイス・6000系冷間鍛造
スポーク DTスイス・エアロスポーク
重量 1390グラム


P-SLOホイールシステム 
4万350円
リム 6061アルミ 後輪は非対称デザイン(21㎜ハイト、クリンチャー)
ハブ DTスイス・6000系冷間鍛造
スポーク ステンレスエアロスポーク
重量 1580グラム



リムはおそらくアレックス製です。オリジナルに見えますが、以前書いた記事で同じような製品について触れています。私はてっきりまんま持ってきたなあと思っていたのですが、よく見るとハイトが違いますし、こちらはアルミ部分がスカンジウムとなっています。それもアレックスのラインナップにはあるんですけど(笑)。すでにある技術の組み合わせですが、一応専用品ということで。

またハブも同様に、完全オリジナルや台湾OEMメーカーの製品ではなく、定評のあるDTスイス製になっています。しかもオリジナルです。上位機種はクイックまでDTとの共同開発品になっています。

良く言えば一流メーカーの高性能を活用した、悪く言えば集めただけです(苦笑)。でもよく見てみると、流石ジャイアントと思わせる部分が数多くあります。

これらの製品の開発にあたって掲げられたのが『システムエンジニアリング』です。シマノのSTIと同じようなものと考えて良いでしょう。パーツ単体ではなく、全体でどういった性能を持たせるかということを考えています。

リム幅が21㎜というのは、現在の主流より広いです。ジップ・404などが先鞭をつけた幅広エアロの概念です。カムテールというやつです。そしてタイヤとリムとの接触面をできるだけ滑らかにすることで、車輪後方のボルテックスによるドラッグだけでなく、サイドにボルテックスが発生するのを防いでいるのです。

そしてハブ。私はDTスイスに発注して正しかったと思います。今、削りだしなどの高級ハブを除いて、シマノ、カンパに対向できるのは同社だけです。回転部の性能は世界屈指だと思っています。さらにシェルというかフランジを4㎜幅広にすることで、エアロだけでなく剛性面も高いレベルを狙っています。リヤハブのフランジ高の違いも効いているでしょう。ストレートスポークも強度面で安心できます。

スポークレイアウトはマヴィックと同じような、カセット側ラジアル、反カセット側タンジェントとなっています。リムにも左右非対称デザインを取り入れていますから、後輪のスポークテンション対策は万全と言って良いでしょう。

またタイヤも面白いです。ジャイアントはロード用タイヤにミシュランを多く採用してきました。しかもプロシリーズを。これによってかなり性能を稼いでいたことは知る人ぞ知る事実です。それを自社製品に置き換えてきたと言うことは、少なくともプロ3クラスの性能を期待しても良いでしょう。またそうでなければ納得出来ません。

タイヤはなにやら不思議なことが起きています。最上級モデルP-SLR1(3990円)に対してセカンドモデルP-SLR2のほうが4410円と高いのです(笑)。……一体どういうことでしょう? これも前後、各専用のトレッドとコンパウンドを使っていて面白そうですよ。

ヨーロッパ以外の多くのブランドが、モジュールコンセプトによってコンポーネントを巻き込んだ統合設計に踏み切る中、ジャイアントも同じ方向に舵を切りました。これはパーツメーカーにとってはただならない脅威でしょう。一方でヨーロピアンは餅は餅屋というか、オリジナルっぽくみえてもただ単にステッカーチューンだったりします。

このスタンスの違いは、数年後どういった結果を生むのか……?