その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

マイケル・ルイス (著), 東江 一紀 (翻訳) 『世紀の空売り』 文芸春秋

2012-09-25 22:50:28 | 


 金融危機をネタにしたノン・フィクションを読みました。アメリカでサブプライム・ローンの破綻をきっかけとした世界金融危機を予測し、当時の加熱するサブプライム・モーゲージ市場の逆に賭けていた3組の男たちを追ったルポです。2年前に出版されたようですが、日本でも随分、評判になった本のようです

 トピックスの話題性、登場人物たちの強い個性が強烈に読み手を引きつけます。出来の良い推理小説を読むような、興奮が味わえました。金融危機の背景、一面を知るための経済本としても、この市場に人生を賭けているともいえる登場人物達の強い個性がぶつかり合うヒューマンドラマとしても読めます。

 私としては、蓋を開けてみれば、完全な虚構の前提で成り立っていたサブプライム・モーゲージ市場の実情、投資銀行の行動原理、格付け会社のいい加減さなど、いろいろ勉強になりました。複雑化する現代経済社会で、騙されないようにするには、よっぽど賢くならなければいけません。それにしても、アメリカ人は、良くも悪くも、本当に個性的ですね。読んでいると、彼らの毒気に当てられて、自分がつまらない者に思えてしまいます。

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