
昨年5月に発刊された当初は随分と評判になった本のようなので、今さら私が紹介するまでもないかもしれませんが、現役の経済産業省のキャリア官僚が、日本の官僚、政治を批判した暴露本とも言える内容です。
まずは、現役のキャリア官僚がこうして公に自らの見解をオープンにし、自組織の批判も恐れず記していることに敬意を表したいです。よっぽどの信念と度胸がないとできることではありません。
興味深かったのは、公務員制度改革や「純粋持ち株会社の解禁」を巡る政治家と官僚の駆け引き。官僚側の抵抗や交渉の仕方は、日本の政治の世界における改革の難しさを表しています。本当にこれで日本は大丈夫なのか?
縦割り組織の中で、省益の最大化に走る官僚の行動原理は、いろんなところで紹介されていますので今さら目新しくはないですが、内部の人が見ても同じというのは、残念でやりきれない思いになります。きっと、官僚サイドには官僚サイドの言い分があるのでしょうが、そうした議論がオープンになされない不透明さが、ますます私のような普通市民が疑義の目を向けたくなる一因です。
いささか筆者の思いが走りすぎの感がある文体には、読んでいて、引いてしまうところがありますが、実情を知るという意味で勉強になります。読んでの学びは、「我々、市民は賢くならなくてはならない。国に頼ってはいけない」ということでした。