その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

フェスタサマーミューザ KAWASAKI2024 読売日本交響楽団 〈沖澤のどかが鮮やかに描く、壮厳なる音物語〉

2024-08-11 07:17:06 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

毎年7,8月は演奏会に行く機会が減るのですが、今年は7月が2回で8月は0。期間が空くと、久しぶりの演奏会はルーティンとならず、集中して聴けるのでこういうメリハリもあっていいのかな。

今年の私のサマーミューザは、6月のN響を指揮した沖澤のどかさんが読響を振るこの1本。後期ロマン派で固めたプログラムも魅力です。のどかさんのプレトークを楽しみにしていたのですが、夏風邪で声が不調ということで、阪田さんが代役を務めました。代役とは思えない慣れた感じのトークで、流石だなと感心。

冒頭の「ドン・ファン」も情景が浮かぶ演奏が素晴らしかったのですが、続くリストのピアノ協奏曲第2番と後半のサン=サーンス:交響曲第3番が私自身の収穫が大きかったです。

阪田知樹さんのピアノは初めての実演に接しましたが、堂々たる演奏でした。ダイナミックさと優雅でロマンティックさが共存し、聴きごたえたっぷり。リストのピアノ協奏曲第2番を生で聴くのも3度目くらいですが、初めて、こういう音楽だったんだと、少し楽曲にお近づきになれた気がしました。

後半のサン=サーンスの交響曲第3番。こちらも目が開かせられる演奏。沖澤さんの指揮、読響の演奏は、直球ど真ん中で、変なアクセントや癖がありません。それ故か、音楽が体に染み込むように吸収されます。楽曲の素晴らしさを自然に語らせるような指揮ぶりです。

この曲、昨年11月にニューヨークでNYPの演奏を聴いたのですが、旅の疲れもあって、終盤の畳みかけるスケール感ぐらいしか印象に残っていません。今回初めて、曲の構成や第1楽章後半の美しさなど、様々な気づきがありました。読響の前のめりの演奏も素晴らしかった。

終演後は私も含めてホールの隅々から大拍手。のどかさんも何度も呼び戻されていましたが、体調不調に加えて、ご妊娠中のようで、少々しんどそうでしたが、拍手に応えてました。

数を減らしているの中で、こんな演奏会を聴いてしまうと、「もっと行きたい/行かねば」ということになってしまいますね。

 

2024.7.31(水)
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:沖澤のどか
ピアノ:阪田知樹*サン=サーンス:交響曲第3番
パイプオルガン:大木麻理☆

R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』op. 20
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S125/R456*
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op. 78『オルガン付き』☆

  • フォーレ:ネル(阪田知樹編曲)

Wed 31 Jul 2024
19:00|18:00 Doors open | 18:20-18:40 Pre-concert Talk

MUZA Kawasaki Symphony Hall

Nodoka Okisawa, Conductor
Tomoki Sakata, Piano*
Mari Ohki, Pipe Organ✩

  1. Strauss: Don Juan, op. 20
    Liszt: Piano Concerto No. 2 in A major, S125/R456*
    Saint-Saëns: Symphony No. 3 in c minor, op. 78, "Organ"✩

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