その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

とある職場の風景 ある日本人の若者

2011-07-29 23:54:59 | ロンドン日記 (日常)
 先日、最近、会社を辞めた現地採用の日本人の若者と一緒に食事をした。彼の送別会に所用で参加出来なかったので、 是非別れる前に一言激励しておきたかったから。

 彼は、我々の現地法人では初めての現地新卒採用。将来、日本人でありながらローカルビジネスに精通しかつ日本とのパイプも作れるという人材に育だてようということで、教育投資もしたり、とっても期待していただけに、辞めると聞いた時はがっかりだった。

 でも、退社の理由が奮っている。すでにこちらで学生時代から起業した事業に専念したいからとういうことだ。我々の会社に勤めながら、これまでもサイドビジネスをしていたとは、あまり会社の視点で言うと好ましいことではないのだが、この日その事業の内容や今後の展望について個人的に話を聞き、多いに感心した。もう今既に、千万単位の収益をあげていると言う。自分のビジネスを語る姿、視点は立派な若手起業家そのものだった。

 「今時の若者は内向きで安定志向」などと我々はレッテルを貼りたがるが、こんな若者もいるんだと思うと頼もしい。今まで日系企業の中で、ある程度雇用も安定した中でやってきた私なんかよりも、ずっとリスクを取って、自分で自分の人生を切り開く情熱に満ちている。励ますつもりが、逆に元気をもらったような食事だった。

 当然のことながら、今後、彼のビジネスがうまく生き続ける保証は無い。彼自身も言っていたが、近い将来ホントに大きな賭け、決断を迫られる時も来るだろう。こんな言い方をすると、私自身が枯れた人間みたいで嫌だが、是非この若者の今後の成功を心から祈念したいと思った。



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