東日本大震災の原発事故の際、福島で生活をしていた夫婦は東京に引越しをするが、妻は事故の際妊娠をしており、二人の元に政府からと名乗る男が現れ堕胎を勧める。
妻はチェルノブイリ原発事故後に産まれた奇形児の写真をネットで見つけ、精神も不安定になり手術を受けようと男の元へ行くが、案内された場所は怪しげな建物だった。思い止まった妻を安心させる為に、福島の写真を撮りに出かけて行く夫。
これだけサラッとあらすじを書くと、ありそうな映画かもしれないが、まーあり得ない事のオンパレードで、映画だからと済まないレベルじゃないだろうか。
政府からと名のる男の正体はなんなのか? 日本の将来の為だと胎児を堕ろそうとさせるのは、考えると奇形児が産まれると、原発推進が阻害される事を恐れてという事だと思われる。
福島に写真を撮りに行くため精神不安定な妻を、外出させないようにガムテでグルグル巻きにして監禁状態で何日も置き去りにしたり、福島では気の狂った妊婦が一人で子どもを産むところに夫が遭遇、生まれた子が奇形児だったため、カマで殺そうとするが夫に止められ自ら首を掻き切る。
また撮影中、野生化した動物を獲り、現場で切り刻み串を刺している男を目撃。その肉は東京の焼肉屋に卸すためのものだった。新幹線で往復してバック1つ分の肉を売って幾らになったのだろう。
東京に戻った夫はその男と意気投合し、原発を止めるためには電気を使わせない事だと、パチンコ屋のネオンが繋がる電線や、電車のケーブルを切ったり、しまいには地方からの送電線の鉄塔を倒してしまう。それもサンダーとチェンソーを使って。外なのに電源はどうしたんだろう?
しかしそれで東京は大停電に陥ってしまう。たかが鉄塔一本で。
それから7年後、夫婦の間に産まれたのは見た目は普通だが、聴力が常人の千倍だという子どもで、耳栓とヘッドホンで覆わなければ生活できず、同級生にヘッドホンを取られ大声を出されたり、笛を耳元で吹かれるというイジメに遭い物語は終わる。
上映後の司会の方がおっしゃるようにつっこみどころ満載。でも映画だからと言われていたが、監督は韓国のキム・ギドクという、かなり有名な監督なのだそうだが、だからと言ってこういうデタラメなもの作っちゃマズイでしょ。
見に来ている客も監督のファンだったり、原発反対の人がいたようで、東京からこの映画を見に来たという人や、私の斜め前に座っていた3歳くらいの子供の母親は、この映画が日本で公開できると思う人? と言う問いに元気よく手を挙げていた。
子供は怖い場面になると母親にしがみついて顔を伏せていたり、映画に飽きて会場を歩き回っていたけれど、母親は映画に夢中だった。
原発には大反対だけれど、この映画で人の気持ちを動かすのは難しいだろう。問題作だから、政府が、世論がという事で公開が難しいのではなく、その前に映画的に面白くないんだから、買おうと思う配給会社はないだろう。
公開するとしたら市民レベルでしか無理だろうな。
ま、稀に見るトンデモ映画ですわ。
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