バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

山口冨士夫の日記

2011-01-14 | 日記・エッセイ・コラム

ずっと放置状態だったツィッターを最近ちょくちょくやってる。するといろいろな情報を見つける。今日は山口冨士夫さんの日記についての記述(つぶやき)を見つけて、それをきっかけにひさしぶりに彼の日常に触れました。
http://blog.fujio-yamaguchi.com/?day=20110111

僕が高校生の頃、彼は『山口冨士夫グループ』というバンドをやっていてインディから4曲入りの8インチ盤(微妙な大きさだ)『RIDE ON !』をリリースした。村八分に興味があったので迷った末に購入。今のインディと違ってストリート、いや都市の路地裏の匂いがプンプンしていた。
そのワイルドでルース、黒いサウンドは高知の高校生には刺激的でいっぺんにファンになった。ストーンズやブルースをルーツに持つバンドでは最高の存在だ!と思ったりもしたものでした。
それからしばらくして地元の小さいライブハウス『BUZZ』に『山口冨士夫グループ』がやって来ることを知った僕とミキ(初めてのバンドのベーシスト・男)は驚きつつも、手作りのチケットを購入して二人で行ったのでした。。試験期間中だったのを気にしながらの冒険だったような記憶が有る。
6時半や7時に始まるコンサートとは違って9時頃スタートの薄暗~いライヴハウス。バイユーよりも小さい店だったように思う。その後、自分たちも出演したけどよくあんなところでデカイ音だしてライヴをやっていたものだ。そう!とにかく音がデカかった!!1時間以上開演が遅れて(理由はここには書けません)登場した山口冨士夫は開口一番「デッカイ音出すぞぉ~」。にやりと笑ったのが印象的だった。半ば無理矢理連れてこられたミキは「有、こいつなんかきちゃないぞ…」とつぶやいた。その夜、僕らはレコード用に整えられたり、コンサートでPAシステムで整理された音以外で聴くロックンロールというものに初めて触れたのでした。あれは16歳。

それはそんな別に大したモノじゃなく、どちらかというと穴だらけでツッコミどころ満載のなんともガサツなシロモノだった。…なのにそれまで生で聴いたどんなロックバンドよりも生々しくカッコイイものでした。僕は目の前で演奏されている音楽が良いものかとるにたらないものなのかもわからず、ただ未知のものに出会ったという衝撃でドキドキしながら眺めていたことを覚えています。『RIDE ON !』の曲は勿論、『Red Rooster』『pipeline』、レゲエアレンジの『Love Me Do』なんかを演った。ササクレだってていい加減でキレ味ばかりの演奏だった。進行もだらだらしていてとてもライヴとは思えなかった。そしてなにより一般人とは違った匂いをプンプン漂わせていて、凄みが有り過ぎ。怖いくらいだった。、、、繰り返しますが、16歳でした。コワイよなー(笑)。
ゆったりとしたペースのライヴは11時を過ぎても終わる気配がなく僕らは翌日の試験勉強のためアンコールの合間に店を出たのでした。今考えるとバカバカしい。試験なんて一瞬のものの為に。最後まで聴いておくべきだった。ま、たいしたことはおこらなかったかもしれないけど。。。途中で帰ったという記憶のおかげでいろいろと鮮明なのかもしれないし。その後、バンドで村八分の曲をカヴァーしたし、山口冨士夫の『からかわないで』をレパートリーにしたりした。
数年後、東京に出ての最初の夜(翌日だったかもしれない)。荷物も届いてないフロトイレなし4畳半の経堂の部屋を抜け出して原宿クロコダイルへ『山口冨士夫グループ』から改名した『タンブリングス』を観に行った(その少し前のタンブリングダウン時代かも)。満員の東京のライブハウスで観るフジオちゃんは絶好調で素晴らしかった。バンドが意欲に溢れていて一番いい時期だったのかもしれない。
時に酷い演奏をすることで知られる彼だけど、いい時は本当に素晴らしい。あの頃の彼は酷い演奏の時も含めてスリルに満ちていて実にカッコよかった。感激のあまりクロコダイルにはその後何度も足を運んだのでした。ああ、当時は『シティロード』くらいしか情報源がなかったなぁ。

タンブリングスからティアドロップスに改名する頃から彼の音楽を聴く機会は激減してしまったけど、リリース状況や頻繁に刑務所に入る姿など動向はいつもなんとなく気にはしていました。
近年は体調を崩し、一時は生命さえも危ぶまれたフジオちゃん。
2008 僕にとって…清志郎さんやローリークックさんのように、最高に特別で重要な存在のミュージシャン!というほどではないのですが、やはりいつも気になる存在です。
また元気に生々しくてキレ味満点の演奏を聴かせてもらいたいものです。あの歌世界も彼が歌うと何となく納得するから不思議だ。貴重なお人です。
写真はROLLING STONESトリビュートバンド THE BEGGARSのブログからお借りしましたこの日の日記もいかにもフジオさんらしくって笑えます。