今やニューオーリンズの顔、と言ってもいいかもしれません。Kermit Ruffinsの2010年度の新作『Happy Talk』も紹介し忘れていた1枚です。
最低でも年に1枚、去年はクリスマスアルバムも入れて2枚。今年もサントラに参加したりと急がしそうです。このリリースペースの順調さはズバリ「売れているから」に他ならないでしょう。毎回そんな新味があるわけではありませんが、絶対に間違いなくニューオーリンズの香りを堪能させてくれる希有なミュージシャンであるということが広く認知されているのだと思われます。
今作も1曲目からもうなんだかニューオーリンズへ来てしまったみたいです。ビッグバンドスタイルで軽快に飛ばします。3曲目のサム・クックナンバーをいつものカーミット節で歌いだしたとたんに、もう深く考えて聴く気なんてなくなってしまいます。いやあ今回も楽しいなあ。
この『Aint That Good News』は前作のジミー・クリフと同じくアルバムの看板曲ですね。続いて『La Vie En Rose』とカヴァーの幅も相変わらず広い。なんでもかんでもサッチモスタイルで聴かせているだけ、と思う人も多いのかもしれませんが、カーミットの音楽には、海を隔てて漂ってくるラテンのスパイスが絶妙にミックスされていてその歌声もけっしてサッチモそのままではありません(似てはいますが)。あからさまでない混合テイスト。ファンキーさ具合ひとつをとっても古き良きニューオーリンズだけに留まらず、当然ですがファンク以降のリズム解釈やキレが感じられます。温故知新、とでも言えば良いのでしょうか?一見古いだけに見せかけているところが憎いですね。オリジナル曲『I Got a Treme Woman』もかっこいい!
ジャケット、本人の後ろに見えるのはホームとしているライヴハウス『ヴォーンズ』でしょうか?
あああ~行きたいな。と思わせる1枚です。