バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

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徳山昌守選手引退

2007-03-16 | ボクシング
昨日、WBC世界スーパーフライ級チャンピオン・徳山昌守選手が引退を発表した。実質、王者のままの引退となったことを惜しむ声もあるようだけどファンである僕は正直ホッとしている。
死と隣り合わせの競技だけに本人が「燃え尽きた」と言っている以上、引退してほしいと思っていた。特に彼は試合前に必ず遺書を書いておき、試合が終わったら破り捨てるという行為を繰り返して現役生活をおくってきたということだし、なによりボクシング生活を共にしてきた後輩であり盟友の日本チャンピオン田中聖二選手が防衛戦のリングで命を落としている(徳山選手はコーナーにいた)。ボクシングの恐ろしさを強く実感している王者だからこそ退く時も自分の感覚を大切にしてほしいと願っていました。
現WBCバンタム級王者・長谷川穂積選手(素晴らしいチャンピオンだ!)とのビッグマッチが実現しなくて本当に良かったと思う。凄い試合になったのかもしれないけれど、 何年も前から親交があり仲のいい両選手が(お互いの家族も知っている)「興行の論理」の為、万が一の危険性のあるリングで殴り合う姿を見たくなかった。
現WBAスーパーフライ級チャンピオン名城信男選手(強い選手だ)との統一戦も実現しなくて良かった。前述の田中聖二選手が命を落とした試合の対戦相手であった名城選手(徳山選手とも交流がある)と徳山選手を戦わせるなどという酷な試合も見たくなかった。そして一部で囁かれていた、カメダ一家と交わるなどというう愚行が行われなくて本当に良かった。偉大な世界王者にキズをつけるところだった。安心しました。
世界戦11勝1敗。輝かしい戦績に見合う人気を獲得することができなかったのはいかにも残念。在日朝鮮人3世という自らの出自を全面に打ち出したことや、相手の長所を殺し絶妙なタイミングとスピード感で試合を支配するという判り易さに欠けるスタイルのボクサーであったことなどが理由として考えられるが、「日本ボクシング界の宝」として熱心なボクシングファンには(自分の知る限り)熱い支持を受けていました。
歴代3位の防衛回数もさることながら、キリロフ、ナバーロ両選手との指名試合は海外で評価が高く実績のある選手に圧倒的に完勝したという点で日本ボクシング史に偉大な足跡を残したと言えると思う。海外のメディアで日本の世界王者が「凄い」と評されているとなんとなく嬉しいものだ。ちなみに僕の昨年の年間表彰を選ぶなら最優秀選手は実際と同じく長谷川選手だけれど、年間最高試合賞は徳山昌守vsホセ・ナバーロです(実際は長谷川vsウィラポン)。
海外の著名王者との本当のビッグマッチが観てみたかった気もするけど本人が燃え尽きたというなら仕方ない。今が退き時なんだと思う。
日本の誇る世界チャンピオンが無事にキャリアを終えられたことを素直に喜びたいと思います。
…バイユーに飲みに来てくれないかな~♪20070316