ほぼ政府主導の飛騨信濃直流幹線(東西連係線)新設工事。
基礎工事はすでに始まっていると年明けくらいに聞いていた。
しかし、なかなか行くタイミングが無くずっと保留状態だった。
いつまでも引っ張っても仕方がないので「えいや!」と行くことに。
岐阜県側始点は飛騨清見、終点は長野県山形村にある新信濃変電所を繋ぐ延長約90キロ。
これがまた珍しい直流200KV線で塔体も特徴的だ。
とりあえず始点側から順に施工箇所を追っていくことにした。
8時前に家を出てまずは飛騨清見へ。
酷道257の片鱗を味わいつつ、せせらぎ街道へ出る。
西ウレ峠を越えて高山方面へ下り始め、9時55分頃に大きな事故現場に遭遇する。
高山方面から山を登って来たであろう木材搬送のトラックが車線を越えて、
下り線側のコンクリート側壁に運転席側から衝突していた。

事故現場 画像左側が清見、右側が高山方になる。

ストリートビューから。左側の側壁にぶつかっていた。
単独事故にしては色が違うパーツがあるな、と思って避けるとトラックの陰になる位置に軽トールワゴンがいた。
運転席側のドアは無くAピラーが千切れてめくれあがっており、運転手は運転席で突っ伏している状態。
トラックの運転手は電話中だったので救護に入ろうと車を止めようとした。
そこへ高山警察署の交通課のマイクロバスがたまたま通りかかったので止めておき、そのまま高山方面へと向かった。
場外を1ヵ所確認後、緊急車両のサイレン音が聞こえない気がしたので再び事故現場へ向かう。
10時15分頃に現場に到着すると救急車は到着しており救護活動の真っ最中。
また、先ほどの交通課の人が交通整理を行っており一般人はいらない様子だった。
Uターンした直後に白バイが1台到着。更に消防の指揮車(高山51)も到着。
状況からして工作車等応援は必要になると思い、現場から離れる。
トンネルを越えてすぐにドクターヘリが降りられるくらいの駐車場がある蕎麦屋さん(
そば処 清見庵)を発見。
駐車場わきを通る道路脇で待機する。
するとその後すぐに工作車(高山41)、ポンプ車(高山1)、警察車両(事故処理車×2、クラウンパト1)等が通過。
FR24を見ると岐大をドクターヘリが上がっていた。
しかしここに来るまでの道中、雨が降ったり止んだり。
稜線さえ見えれば何とかここまで来ることができるだろうか。
その後数分して指揮車らしき車がこの駐車場へやってきて隊員が降車。

10:36 消防年鑑より火災原因調査車(コールサイン不明)
声をかけられる前に「ランデブーですか」と聞いたら「そうです」の返事。
車の位置を確認するとそこでも大丈夫とのこと。
隊員が店の人に声をかけ、車の確認等をしてもらう。
店員の様子からしてなんだか慣れた感じがする…。

10:37 場外確認よし、の連絡中かな。もうヘリの音は聞こえてきている。
現場の状況を確認しているのか、すぐにこちらにはやって来ない。
2回ほど旋回してからか、ようやく機体をインサイトする。

結構高いところを飛んでいる。
一旦高山方面へ向かうのが見え、ここに降りるのを止めたのかと思った。
しかし再び機体が見えた時には驚いた。

10:39 谷沿いを飛んできた!

googlemapの航空写真を3Dで見た感じ。ヘリの進入時はこのように見えたのだろうか。

ゆっくり前進しつつ降下中。

機長さんがこちらをインサイト。

機上整備士が下方を確認。

10:40 着陸。エンジンカットした!

整備士がキャビンのドアを開ける。

整備士が消防隊と合流。ランデブー、ゴーの説明だろう。

10:41 フライトドクターとナースを乗せて事故現場へ。

しばし待機となる。

お店の従業員も出てきて見学。機長に某ドラマのことをたずねる人も。お店、誰か残っている人いる?
このとき、お店のご主人と思われる方から話を聞くことができた。
今回のようにドクターヘリが降りることは今年で2回目、去年も2回あったそうだ。
前回の時はお昼時で駐車場もかなり混んでいたそうだ。
しかしお客さんの協力もあって車を移動、無事にヘリを降ろすことが出来たそうだ。
けど問題はここから。
お客さんがヘリを見に行ってしまい、注文の品物が出来てもテーブルに人がいなかったとか。
「お客さーん、蕎麦できたよー!って声かけたよ(笑)」

おや、コパイ側に何やら新しいモニターが付いている。
戻ってきた原因調査車から消防の方2名も近づいてくる。
店員のおばちゃんと顔なじみの人なのか、協力関係からか親しい感じがうかがえた。
しばらくして無線が入ったようで「岐大!」と声がかかる。
高山市内の病院へ搬送するより岐阜大学医学部付属病院へ搬送した方がいいとの判断だ。
となると容体が心配なところだ。

10:51 岐阜CSに電話中のM機長。フライトプランの作成をお願いしているのだろう。
消防隊より救急車が現場を出発した旨連絡が入る。
現場とは1キロもないからすぐだろう。

10:54 救急車は機体右側へ…

高山救急6がやってきた。
ここからしばらくは撮影自粛。
FASTは陰性、左腕骨折、多発性外傷…と会話が聞こえてくる。
FAST陰性はいいが、頭部にダメージが無ければいいのだけれど。
搬送している様子からは自発呼吸ができ、心臓も動いているようでちょっと安心した。

10:57 ストレッチャーをヘリのへ移し替え、機内収容。

10:59 NO.1エンジンスタートよし。

11:00 NO.2エンジンスタート!

外観確認中のY整備士。ワイヤーカッターを気にしていた。

他のドアロック状態を確認して機体へ乗り込む。

11:02 M機長がこちらへアイコンタクト。

離陸します、のハンドサイン。

地上、上空支障なし。上がれ~

離陸

JA6923 BK117C-2 岐阜大学医学部附属病院/セントラルヘリコプターサービス
ある程度の高さを取ったところで前進開始。お疲れ様でした~。ちなみに、岐大には11時28分到着とか。
これにてこちらも現場離脱。
高山消防の方達に挨拶して現場を離れた。
そういえば昨日、岐阜ドクターヘリは3000回運航の式典があったな。

岐阜新聞より。整備士さんは一緒だけど機長は違う人でした。
今後も安全運航でお願いします。
高山市内を通って高根、野麦峠を目指す。
途中何ヵ所か気になるところもあったがヘリの姿は確認できなかった。

これがこの連系線の鉄塔形状。直流線のため下の段が本線、上の段が帰線の1回線形状。
よく見かける鉄塔は交流で腕金3本で1セット(1回線)。
供給量等から2回線形状のものが多く、見慣れている方も多いかと。
建設主導の会社からは交流500KVの2回線鉄塔よりも低くでき、環境、景観配慮もされているとのこと。
確かに、塔体重量も軽くできてコストも下げれそうだ。
野麦峠を通過し、ここからはただ帰るのみ。
薮原から19号に入って会社へ向かったのだった。
今回は鉄塔工事の下見にも関わらず違うものを見た。
結構ひどい事故現場で、しばらく運転しながら軽の運転手のことが気になった。
「ブルー」の判定はあの場ではされていなかったが、頭部CTの結果どうだったのだろうか、とか…。
自分も安全運転で撮影に臨もうと再認識させられる日だった。