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コロナ共存の広告表現の近未来観

学び舎の表と裏(9)

2015-12-21 01:14:02 | 学問のススメの涙



高校や大学の教員から「もっと下の世代の教育がやりたい」という声をよく聞きますが、彼らの実感は正しいのかもしれませんね。
「もっと小さい時に学力を決める要因がある可能性は高いですね。1960年代にミシガンのベリースクールで、黒人の貧困家庭の3~4歳の子どもたちに良い幼児教育を受けさせるという社会実験が行われました。40年間追跡したところ、この幼児教育を受けたグループはそうでないグループに比べて高校卒業率が高く、セカンドカーや持家の所有率が高く、麻薬などで逮捕された人が少なく、収入も高かったんです。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンは、ペリースクールなどの成果を根拠にして5歳までの教育が非常に重要と主張しており、これはこの分野の研究でコンセンサスになりつつあります」



家庭環境と遺伝以外の部分で何ができるか?

家庭環境が学力に与える影響はどの程度あるのでしょうか?


「子どもの学力の決定要因は何かを考えた時に、家庭環境と遺伝の影響は大きいと言われています。最近の私たちの研究では、遺伝が学歴に与える影響は27~35%と推定され、家庭環境も合わせるとかなり大きな割合を占めることがわかっています(*1)。教育政策を打つ側はこれらの影響が少なからずあるということは把握しておかなければいけないし、家庭環境と遺伝の残りの部分のどこに集中的に投資するかを決めないといけません」



「遺伝はいかんともしがたいですが、家庭環境が担っている部分をどう変えるかも重要だと思います。最近は厚生労働省の『21世紀出生児縦断調査』という統計を使って、2001年に生まれた子どもたちの追跡調査を用いた研究をしています。例えば、親のどういったコミットメントが学習時間を伸ばせるか。子どもの学習時間と学力にはすごく強い因果関係があって、学習時間を伸ばしてやると学力を伸ばしてやれるんですよ」