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コロナ共存の広告表現の近未来観

学び舎の表と裏(8)

2015-12-19 11:15:04 | 学問のススメの涙
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「日本ではどの高校・大学に入っても年収は変わらない。」

双生児の学力に関する様々な研究をされていますね。


「米国では枚挙にいとまがないほど先行研究があるのですが、これもある意味では実験と同じ発想です。一卵性双生児はDNAが一緒で、同じ家庭環境で育ちますよね。でもランダムな要因で別の学校に行くことがあるので、その結果に注目して研究をするんです」

つまり対照実験に近いということですね。

「その通りです。例えば、バールマン&ローセンツウェイグの研究」(*1http://d.hatena.ne.jp/next49/20140502/p3)では、双子のうち、学校の規模が小さく、博士課程のプログラムを持っていて、シニアの教員に高い給与を払っている大学に行った人の方が、将来の賃金が高いという結果が出ました。一方、デイル&クルーガーの研究(*2)では、例えばハーバード大のようなあるエリート大学に受かったが行かなかった人と実際に入学した人を比べると、将来的な賃金は変わらないという結果になりました」


いわゆる良い大学に行くと就職などにも有利で、年収が高くなる気がしますが。

「一般的にはそう思われているかもしれません。私たちが、アメリカの研究に倣って日本のデータを用いた研究を行いましたが、この結果はデイル&クルーガーの結果を支持しています。つまり、日本においても「どの大学に行くか」ということは将来の賃金に影響しないという結果になっています(*3)。それなら高校なら差が出るんじゃないかと思って段階を下げて私が研究しましたが、やはり結果に差はありませんでした(*4)。つまり、すごく偏差値の高い高校に行ってもそうでない高校に行っても、大学に行った時の偏差値や社会人になった時の賃金は変わらず、それらは高校に入学する以前の能力で決まっているということです」

「非常にインパクトのある研究結果だと思うのですが、なぜ知られていないのでしょうか。」

「最大の理由は、論文を英語で書いているからかもしれません(笑)。現在、専門誌に投稿しているところなので、アクセプトされたら洗練させていきたいと思っています。でも、全く経済学を知らないお母さんたちでも、学校や塾での教育効果に疑問を持っている人はいますよね。例えば予備校が「東大○名合格」と書いているけど、もともと東大に行きそうな人が予備校に行っているだけじゃないの、とか。私の研究が本当に正しければ、その通りだということになります」
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