南無煩悩大菩薩

今日是好日也

失われました、そして見つかりました。

2012-07-11 | 古今北東西南の切抜
(LOST&FOUND PROJECT)

・・・それから少しして、生存者の捜索が終わりガレキの撤去が始まると、
自衛隊や消防署員や警察官や、町にいるいろんな人がその中から写真を拾いあげ、
別の場所に集めておくようになりました。
それは誰に頼まれたわけでもなく、
はっきりとした目的意識があったわけでもありませんでした。
ほとんど何もなくなってしまった場所で、戻るものが何もない場所で、
それでも何かを戻せたらと思ったのではないでしょうか。
集められた写真は体育館いっぱいになっていきました。

・・・写真の状態は様々でした。
比較的きれいなものから、バクテリアによる浸食が進み表面の像が
ほとんど溶けてしまったものまで。

・・・ぼくらは楽しい時、何かいいことがあった時、
誰かに見せたいものと出会った時写真を撮ります。

ここにある写真も同じでした。
一枚一枚その想いに大小はあれど、誰かが残しておきたいと思った場面でした。

この写真たちを前に何を思うべきなのか、答えは出ません。
見つかった写真を喜ぶべきか、もう持ち主の手に戻らない写真を悲しむべきなのか、
それともいなくなってしまった人たちのことか。
何か答えを出そうとするたびに、足りないものが出てくるような気がします。

それでも見つめることからしか何も見えてこないのだと思います。

-抜粋/Lost&Found プロジェクトより-

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