南無煩悩大菩薩

今日是好日也

名調西鶴永代蔵より。

2014-06-12 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。

人間、長くみれば、朝(あした)を知らず、短くおもえば、夕(ゆうべ)におどろく。

されば、天地は万物の逆旅(げきりょ)。光陰は百代の過客、浮世(ふせい)は夢幻(ゆめまぼろし)といふ。

時の間の煙、死すれば何ぞ、金銀、瓦石にはおとれり。黄泉(こうせん)の用には立ちがたし。

然りといえども、残して、子孫のためとはなりぬ。

ひそかに思うに、世にあるほどの願い、何によらず、銀徳にて叶わざる事、雨が下に五つ(地水火風空の五輪よりなる肉体生命)有。

それより他はなかりき。是にましたる宝船の有るべきや。

見ぬ嶋の鬼の持ちし、隠れ笠、隠れ蓑も、暴雨(にわかあめ)の役に立たねば、手遠き願いを捨てて、近道に、それそれの家職を励むべし。

福徳は、其の身の堅固に有。朝夕、油断する事なかれ。

殊更、世の仁義を本として、神仏をまつるべし。-井原西鶴「日本永代蔵」より抜粋-


永き世の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り船の 音のよきかな(縁起枕絵-宝船-)
コメント (2)
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