科学新書の近刊の副題の一部です。宇宙に大量にある「物質」、ダークマターの観測の試みのまとめです。
物理学者には2種あると言われていて、理論家と実験家で、この書は実験家による物です。測定装置の話になるとぐっと具体的になって、とても迫力があります。
著者には申し訳ないですが、SFネタ満載だと思います。表面上をなぞるだけでも楽しい本と思います。
非常に堅実な内容でした。我々の宇宙のスケールを大は4×10e35m、小は10e-18mとしていて、小の方は「点」と考えられているクォークと電子などの大きさの上限らしいです。
ここで書名を直接書かないのは、ダークマターが通常の物質と電磁相互作用することを仮定して実験を組んでいて、しかし、まるで痕跡すら捉えられていない現状を紹介しているからです。書いてあるように、もしもダークマターと通常の物質の接点が重力だけなら、まったくお手上げだそうです。
こうした地道な研究はとても大切です。これも書いてありますが、重力の逆2乗則があるスケールで破綻していたら大事で、一見荒唐無稽に思えるこのような仮説も生真面目に実証して否定しないといけません。
もしもダークマターと我々を構成している物質の接点が重力だけなら、探索範囲はプランク長、つまり10e-35mまで広げないといけません。この長さで物質の長さとブラックホールの半径が一致するそうです。しかし、上述の小さいスケールからは10の17乗もの隔たりがあります。
このギャップを埋める方法はいくつか考えられると思いますが、よく分かるのは測定精度で、つまり4倍の双眼鏡だと遠くの風景が4倍近づいているように見えます。この10年に限っても、装置系によっては10000倍の精度になっているそうで、つまり、ギャップが10進4桁分だけ縮まったことになります。焼け石に水?。次は試行回数で、ざっとの感覚だと、1兆回だと10の12乗分近づいたことになります。うむ、着実に近づいている感じ、つまり無駄ではありません。
てか、理論家からの応援は無いのかな。もちろんブランク長と言えば超弦理論であり、私はこのスケールで実際の物質などの相互作用が起こっていると思っています。たとえば、量子もつれ、つまりエンタングルメントはこの領域の出来事の結果がぐぐっとシュレーディンガーの猫のスケールまで引き延ばされた現象なので、多少のヒントが…、まあ、素人の想像なので、大したことないです。