老人の思い出話が続いて恐縮です。しかしおそらく昭和の時代というか20世紀後半のエレクトロニクスの展開はある程度知っていた方が今後の科学・技術のアイデアに多少は役立つと思います。
「電子技術」は実際に存在した雑誌名みたいなのでエレクトロニクスのカタカナ用語を使います。元は真空管回路のことで、トランジスタを経て今は主にシリコンICの電子回路を意味します。
真空管の理解は2極管(ダイオード)から始まります。タングステンのヒーターに対向してプレートと呼ばれる電極を追加した真空管です。
真空管の真空度はとても高度で、いわゆる放電現象は電子ビームになります。…って、今でも中学校などで放電実験しているのかな。真空度を上げて行くと放電の様相がビジュアルにも変化して行く印象的な実験です。web検索するなら「真空放電」が適切と思います。
ちなみに宇宙空間の真空度はものすごくて、1辺が1mの立方体中に1個の水素原子だったか水素分子だったかが典型的な濃度だそうです。多分、実用の真空管でもそこまでは達成していないと思います(大型粒子加速器などで達成しているのだったらごめんなさい)。
とにかく、ヒーターで金属を熱するとその表面からはさかんに電子が飛び出して、対向する陽極で電子を引っ張ると容易に電子は空間内に飛び出してプレート(陽極)に吸収(?)され、つまり電流が流れます。
2極管でその昔整流によく使われた5MK9にはヒーターの周りにカソードと呼ばれる細い円筒形の金属管が巻かれていて、そのすぐ外を(真空の空間を隔てて)プレートの金属が取り巻いています。さっき調べたらプレート・カソード間電圧が350Vで60mA流せたそうですから、電力にすると21Wで、スピーカーを駆動する電力用にはまずまず強力な感じがします。これ以上電流を流すと多分落雷みたいなことが起こって真空管は壊れます(やったことはない)。
ううむ、この解説が間違っていないことを祈ります。気分が向いたら続きます。