愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

テーマ再考

2021年10月08日 | 運営
現在ゼミの3年生,4年生にとって,研究発表と卒論のために最高度に努力しなければならない時期に入っています。ゼミ生たちはあいかわらず(例年通り)テーマが決まらないと嘆いています。どのゼミ生もテーマがあいまい(ぼんやりして)で大きすぎて,根拠のある独自の主張ができない様子です。根拠のある独自の主張を行うには,扱っている社会現象を限定し,研究目的を具体的にしなければなりません。つまりテーマを絞る必要があります。

テーマを絞るためには,何より対象としている社会現象に関連した知識をたくさんインプットしなければなりません。その知識には関連する理論も含まれます。しかし,ゼミ生たちを見ていると,社会現象に関する知識が不十分なうえに,理論をまるっきり参照していません。理論は社会現象を整理する思考の枠組みになります。したがって理論を学んで思考の土台としていないと,社会現象を整理することができず,ただ社会現象を羅列して終わりになります。残念ながら,今のうちのゼミ生の多くはこの段階にとどまっています。

テーマを絞るための思考法の一つを伝えます。社会現象を捉える際に,まずプロセスと条件を見出す努力をするのです。3年生の発表チームの一つが,インフルエンサー・マーケティングを社会現象として捉え,インフルエンサーの情報発信によって消費者を電子商取引サイトに誘導し,そこで消費者に商品購入を促すようなマーケティング戦略を立案するというテーマを述べました。

例としてこれを取り上げて,プロセスを考えてみると,インフルエンサーはそもそも誰か,それが商品情報の発信をするまでの段階はどのようになっているかを捉えることに加え,消費者がその情報を受信し,それをネット上で再投稿する,あるいはそれに反応して電子商取引サイトにたどり着くまでの心理的・行動的段階を捉えることになります。それらの段階は人によってまちまちで,その心理は複雑ですが,「見える化」を図り,一般的で単純な段階に整理する必要があります。

つぎに条件を考えてみると,インフルエンサーが発信しやすい商品情報は何か,消費者に受信されやすい情報にはどんなものがあるのか,どのようなタイプの消費者が受信度が高いのか,電子商取引サイトに誘導されやすい商品情報は何か,どのようなタイプの消費者が電子商取引サイトに誘導されやすいのかなどを捉えることになります。What,Where,Who,When,Howという項目で条件を考えてみるとよいでしょう。

プロセスと条件がある程度捉えられたら,つぎに要因を捉える努力をします。「なぜ (Why)」そのようなプロセスになっているのか,なぜこの条件の時には誘導が起きるのかなどを追究するのです。ここまでくると研究発表にふさわしくテーマは絞り込まれます。

3,4年生は結論を出すまであと2か月しか猶予がありません。私には全く時間が足りないようにみえます。しかし,ゼミ生たちはなんだか危機感なく悠長です。10月21日に商学部の学内研究発表会の中間発表会が小規模で行われます。まず,ゼミ生には,そこまでにプロセスと条件を整理し,そのうえで,自分たちはどの部分を考察対象とするのか決めてほしいと思います。

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