愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

基礎が大事

2011年04月14日 | 名古屋マーケティング・インカレ
今,うちの大学では,毎日昼休みに屋外で軽音楽系サークルによるミニライブが行われています。サークル勧誘のためのデモンストレーションで,4月初旬の恒例行事となっています。私の研究室はこの会場の近くなのですが,昼休みに大音量で耳がふさがります。

どの演奏もよく練習した跡がうかがえます。難しいフレーズを弾いたり,きちんとアンサンブルを聞かせたりする演奏があります。ただ,学生が一生懸命やっていることについて教員が批判めいたことを述べるのは良くないのですが,正直言って下手くそで聞くに堪えない演奏が多いのです。私がそう感じるだけでなく,周囲の学生も同様の感想をもらしています。サークルの身内以外の学生で演奏を真剣に聴いている者は少ないという印象です。

なぜ下手だと感じるのかというと,基礎的な演奏能力がきちんと身についていないからです。基礎的能力について訓練をきちんとやれば,上手だと評価され,多くの学生は立ち止まって真剣に聴くのではないかと思っています。必ずしも高度なテクニックは必要ないのです。きちんと身についていない基礎的能力というのは何かというと,リズム感を持つこと,音程をとること,音を聴くことです。

リズムについては,指示された出だしと終わりで音を出し,曲の最初から最後まで一定のテンポで演奏できるように訓練する必要があります。メンバーが1人でも狂わせると,うまくは聞こえません。音程については,学生が使っている楽器はほとんどチューニングさえすれば正確な音程を維持できるものなので,気をつけるべきはボーカルです。正確にAならAの音程で歌うことができるのか訓練しなくてはなりません。私が聞いたたいていの学生ボーカルは音程が不安定でした。また,総じてどの楽器も音量が大きすぎて,ボーカルがよく聞こえません。自分の担当している楽器の音量をどんどん上げていくのでそうなっているようです。なぜそうなるのかといえば,自分のパート演奏に精一杯で,冷静にバンド全体の演奏を聴く余裕がないからです。これがボーカルの音程の不安定さを助長しています。全パートのバランスを考えて,自からの音量を抑えて,冷静にバンド全体の演奏を聴きながら,演奏することができるよう訓練する必要があります。

私は長らくアマチュア・バンド活動をしていましたが,大学生の頃以上の基礎の重要性に気づき,きちんと訓練しようと他のバンドメンバーに提案したことがありました。メトロノームを使ってリズム感を身につけることや,大きな声量でもって正確な音程で歌えるようボイストレーニングすることを提案しました。しかし,そんなつまらない面倒なことは嫌だと一笑に付されてしまいました。そして,狭い貸しスタジオにおいて,難聴になるほど音量を上げた楽器の演奏をバックに,カラオケのようながなり歌を繰り返す練習をするばかりでした。もちろん上手にはなりません。

基礎が大事というのは,実は研究発表でも同じなのです。研究発表における基礎的能力は,事象から問題を発見する能力,数的データを処理する能力,概念を構築する能力など様々存在するでしょう。何より重要なのは物事を論理的に説明する能力です。主張したいことをきちんと論理的に説明することができれば,聴衆は良い発表だったと納得してくれます。学生レベルでは,難解な専門用語,高度な解析,複雑な理論は必要ないのです。

論理的であるためにはつぎのような項目が確認する必要があります。
1.発表の最初で使った言葉の意味が最後まで変わらない(別の意味で同じ言葉を使わない)
2.研究目的をきちんと達成している(設定した問題に答えている)
3.理由・根拠を示して主張を展開している
4.主張を展開するのに不必要な(関係のない)事柄は説明に盛り込まない

なお,名古屋マーケティング・インカレでは今年度論理性を評価することになり,その基準作りを愛知淑徳大学の大塚先生が行ってくれました。それではつぎの項目が示されています。
1.問題と解答(結論)がきちんと整合しているか
2.最初に設定した前提条件をストーリーが逸脱していないか
3.ストーリーの中で重要な役割を果たす用語の意味をきちんと定義しているか
4.用語の意味が途中でぶれていないか
5.各セクション間にストーリーの飛躍が見られないか

では論理性を身につけるためにはどんな訓練が必要なのでしょうか。まずは,論理的であると評価された文章や発表にたくさん接することです。学ぶことは真似ることから始まります。模範例を知り,それを真似ることで鍛えられます。つぎには,他人(もしくは自分)の研究発表や文章について,上記の項目をチェックして,批判することです。おかしな点がないか常に確認するのです。そして,接した研究発表や文章に対して,常に聞いたこと気づいたことをメモに残しておくことも大事です。メモを残しておけば,言葉の使い方のぶれ,根拠の薄い飛躍した説明などに気づくことができます。

ゼミではメモを取ることをはじめ論理性の訓練をしつこく行っていきます。ゼミ生には基礎訓練だといっておっくうがらず,徹底して取り組んで欲しいと思います。


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