愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

知識の定着

2013年01月09日 | 運営
ベネッセが行った「大学生が振り返る大学受験調査」において,入試の方式による高校時代の過ごし方の違いが明らかになったそうです。高校3年の9月時点の1日の学習時間は,一般入試での入学者平均は「3.8時間」。これに対して,推薦・AO入学者は「1時間未満」の比率が「45.0%」で,約半数の生徒が「受験生」にも関わらずほとんど勉強していないといいます。また,入試難易度(進研模試の偏差値基準)別にみると,偏差値が低いほど「1時間未満」の比率が高まり,偏差値49以下では「64.8%」と高くなっています。ちなみに,推薦・AO入学者の5人に1人が「受験対策をしなかった」と回答しているそうです。

現場教員として,以前から実感として把握していたことなので,いまさら驚きはありませんが,数字が示されると,事の重大性を再認識します。中堅以下の私立大学生の多くは,大学入学までにまともに勉強した経験がないのです。

推薦・AO入学者の学力上の問題は,高校の定期試験対策しかしてこなかったことです。定期試験の場合,あらかじめ狭い勉強範囲が言い渡されますので,たいていの場合薄い教科内容を一夜漬けすれば,試験にのぞむことができます。つまり,知識を体系立てて定着させる工夫を自発的に行わないのです。逆にいえば,一般入試入学者は,地道に知識を体系立てて定着させる努力を行ってきています。

難関とは言えないうちの学部においてでも,一般入試(センター試験含む)を経た入学者は比較して学力が高く,地道に物事に取り組む傾向にあります。推薦・AO入学者は総じて学力が低い。

ただし,推薦・AO入学者の中で,商業高校(総合学科含む)出身の学生は特別です。商業高校出身者は総じてうちの学部では成績が良いのです。その理由の1つとして,高校時代の勉学内容と学部の教育内容との間の親和性が高いことがあげられます。彼らは簿記やマーケティングの基礎は高校時代すでに学習しています。大学の簿記の学習内容などは,高校時代よりもレベルが低いと指摘する学生さえいます。もう1つの理由としては,商業高校出身者は,高校時代,資格取得の勉強を経験してくるので,知識を体系立てて定着させる工夫を身に付けているのです。本学のAOや推薦入試の一つでは,特定の資格取得を受験要件にしています。

ゼミで,知識を体系立てて定着させるための仕掛けを講じる必要があると感じています。しかし,どうすればいいのか思案中です。資格取得のための勉強を強制するのも1つの方法だと思います。ただ,大学らしさがない気がして,今まで行ってきませんでした。

今年度,ゼミ2年生に,1年次の必修科目である流通論の授業内容を再現して,プレゼンしてもらう課題を与えました。教員になったとして,講義してもらうのです。プレゼンの練習のためにやってもらいました。

今思い起こしてみると,知識を体系立てて定着させるための仕掛けの1つになっていたかもしれないと感じています。講義するとなれば,体系だてて科目の内容を理解しなければなりません。しかも,その準備段階で,自発的にあれこれ調べ,発表原稿を書くので,知識の定着につながったはずなのです(実際不明ですが)。

4月からのゼミの運営では,資格取得と疑似講義を本格的に取り入れるかもしれません。

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