決して絵としては上手とはいえない中沢啓治の原爆マンガ『はだしのゲン』がTVドラマ化された。原作では被爆後の、つまり戦後の復興期のエピソードがほとんどなのだが、ドラマでは広島にもどった平岡元が母子とバラックを廃材で作り出すところで終わった。復興をシンボル化してみせただけだった。そこから、62年後の原爆ドームに時間はとんで、老いた元(山本学)が現代の子供達を目を細めて眺めて飢えを元気づけるための歌をくちずさむという終わり方だった(10日、11日の二夜放映)。
この番組はフジTVの終戦特集らしい「千の風になって」でドラマになったものだが、一番苦心したろう被爆後の広島市内の再現をどこかのビルの解体現場を使ってうまく切り抜けていた。そのロケ地となったビルは言うまでもなくコンクリート製で、鉄骨も組まれていたろう。昭和20年当時の建物は、コンクリート製より石組みのビルが多かったと思う。被爆のシンボルとして世界遺産指定にまでなった原爆ドームは、当時の産業奨励館(元物産陳列館)の跡地である。これもレンガ積みの建築物であった。チェコ人の建築家の設計である。
だから、石組みの建築物の崩壊もしくは焼跡と、解体ビルは明らかに雰囲気が違うのだが、なんというか、その廃墟的なシチュエーションが戦争廃墟(戦跡tも言う)で、良かった。ヒロシマの被爆跡の再現としては決してうまく再現した訳ではないが(それは、残された写真やGHQの記録フィルムなどで確認できる)、TVドラマとしては良かったのではないだろうか。少し前(昨年だったか)、野坂昭如の『火垂るの墓』がやはりTVドラマ化された時、その神戸空襲の再現、焼跡の再現に疑問を持っただけに今回はその舞台の提示としてはよかったのではないか。しかし、『火垂るの墓』でも思ったが、俳優が肉付きが良くてとても戦時下の日本人にはとても見えないのが、残念だ(笑)。
この番組はフジTVの終戦特集らしい「千の風になって」でドラマになったものだが、一番苦心したろう被爆後の広島市内の再現をどこかのビルの解体現場を使ってうまく切り抜けていた。そのロケ地となったビルは言うまでもなくコンクリート製で、鉄骨も組まれていたろう。昭和20年当時の建物は、コンクリート製より石組みのビルが多かったと思う。被爆のシンボルとして世界遺産指定にまでなった原爆ドームは、当時の産業奨励館(元物産陳列館)の跡地である。これもレンガ積みの建築物であった。チェコ人の建築家の設計である。
だから、石組みの建築物の崩壊もしくは焼跡と、解体ビルは明らかに雰囲気が違うのだが、なんというか、その廃墟的なシチュエーションが戦争廃墟(戦跡tも言う)で、良かった。ヒロシマの被爆跡の再現としては決してうまく再現した訳ではないが(それは、残された写真やGHQの記録フィルムなどで確認できる)、TVドラマとしては良かったのではないだろうか。少し前(昨年だったか)、野坂昭如の『火垂るの墓』がやはりTVドラマ化された時、その神戸空襲の再現、焼跡の再現に疑問を持っただけに今回はその舞台の提示としてはよかったのではないか。しかし、『火垂るの墓』でも思ったが、俳優が肉付きが良くてとても戦時下の日本人にはとても見えないのが、残念だ(笑)。