風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

8月9日/ナガサキ2007

2007-08-09 23:44:05 | コラムなこむら返し
 午前11時02分、「長崎の鐘」が打ち鳴らされ遠く離れた東京などの各自治体のサイレンが、8月の真夏の空に鳴り渡った。長崎市の田上市長が「平和宣言」を読み上げ、白いハトが青空に放たれる。長崎の平和記念公園の平和祈念像(北村西望作)の真後ろには、白い雲がポッカリと浮かんでいる。
 広島の時もそうだったが、TV中継のマイクを通してセミ時雨れが聞こえる。きっと、62年前のあの夏の日と同じように……。

 TV中継では映されなかったが、浦上天守堂ではミサがとりおこなわれていた。あの日のプルトニウム型の原爆は平和公園のある場所の頭上500メートルで炸裂し、その熱線は飯ごうの中の米を炭化させ、人間を蒸発させ、ロザリオを骨と溶け合わせてしまった。地上まじかにもうひとつの太陽が出現したかのようだった。それだけではなかった。瓦礫の街となった市内を救護活動や、看護や不明家族探しで活動したひとたちは残留した放射線で被爆した。現在もなお被爆者援護法の被爆者として未認定の多くのひとは、このような放射線被爆をしたひとたちであるらしい。
 「黒い雨」は、そのようなひとたちの上にも非情にも降り注いだ。原子野は地上に地獄の光景は、かくなるものと思わせる光景を現出させた。

ヒロシマや ナガサキと説く 原爆忌 もの憂い夏の 蝉時雨やむ

日盛りの まばゆいほどの 光景に 62年を フィードバックせよ!

信仰の 篤(あつ)き里ゆえ 天守さま なぜに試練を お与えになる

黙祷の 合図告げるや 長崎の アンジェラスの鐘 祈り鎮(しず)めて

(4首とも自作)