マジョルカピンク

水曜どうでしょう。大泉洋。大谷翔平。大好き

君の名は。

2016-09-12 17:17:49 | 映画
昨日大評判になっている映画「君の名は。」を見てまいりました。2度目の鑑賞の姪っ子も一緒。姪っ子はアニメ好き声優さん好きのちょっとオタ入った女の子ですが、とってもクールな子。泣きそうになった、もう1回見たい、の様な感想を聞くのは初めてなので、興味が湧きました。
シン・ゴジラの時に何度も予告を見て、パッと見大林宣彦監督の「転校生」のような男女入れ替わりのラブコメディかなと思ってました。新海監督が一部アニメファンの間では大変人気があり、待望の新作だったことも知っていました。妹や姪っ子はきっと映画のランキングで初登場1位になるね!と言っていたのですが、私は「それは甘い。若い子しか動員できないだろうし良くて初登場3位」などと言っていたのが今じゃ恥ずかしい。無知を詫びたい。でも業界でもこの作品のメガヒットぶりは全くの予想外だったようですから、世代間ギャップのような
ものなのかもしれません。

日曜の昼間の回を事前にネット予約して行ったのですが、水曜日の時点では全然余裕があった。でも昨日映画館に行ってみれば大変な人で、予約せずに行って見られない「君の名は。難民」が続出していたようです。号泣必至との感想を巷では聞いていたので、ハンカチ用意。

で、見終えた感想ですが、結論から言いますと涙もろい私ですが、泣きはしませんでした。
しかし大変感銘を受けました。上映が終わった後、館内もざわついていました。ああいう不思議な雰囲気は「モテキ」以来じゃないかと。すぐに誰かと話しをしたくなる作品。傑作です。

とにかく物語が大変素晴らしい。日常系の甘酸っぱいラブストーリーかと思っていたら、途中から時空を超えたSFファンタジーとディザスタームービーの様相を帯び、ラストは往年の名作オリジナルの「君の名は」を思わせる切ないメロドラマ風に収束していく流れは圧巻の一言。単なる高校生の恋愛アニメと思って見に行った層は展開の意外性に驚き心を持っていかれると思います。ネタばれになるかもしれませんが、ざっくり言うと「転校生」ミーツ「バタフライエフェクト」「いつかどこかで」「カゲロウデイズ」的な。よくある男女入れ替わりものとよくあるタイムパラドックスものの融合。どちらも普遍的な設定ではありますが、それだけ鉄板で人気があるお話。それを雄大で神秘的な飛騨の田舎と現代のリアルな東京に舞台を持ってきて、なおかつ彗星来襲という天体イベントをくっつける天才的アイデア。脱帽してしまいました。

「シン・ゴジラ」もまさにそうなのですが、東日本大震災を経て気鋭の映像のクリエイターたちから、こうして3.11を自分たちなりに総括、あるいは咀嚼して作品として昇華させるにようやく至ったのだな、となんだか見ていて後半熱いものが込み上げてきましたね…。この2作品の大ヒットはヒットするべくしてした、と。偶然ダークホース的な作品が連続して公開されたまたま当たったんじゃないような気がするんです。2作品とも深く何層もテーマを内包していると思いますが、単なる娯楽作品として別に講釈を垂れずに見たって十分楽しめます。でも多分そんなライト層でも、心の奥深いところでこの2作品が何を伝えようとしているのか無意識に感じ取っているんじゃないのかな。
あの東日本大震災は日本人のそれぞれの心に大きなトラウマを残したと思います。小林麻央さんのブログじゃないけれど、あの時○○していればよかった…信じなければ良かった…人生は後悔の連続ですよね。被災した方たちも、今は日常を取り戻したといっても、ふとした時に頭をもたげてくることがあると思う。
でも私たちはあの厄災を乗り越え今また必死で生きています。自然の脅威の前には無力でも踏まれても蹴られても何度も日本人は立ち上がってきました。戦後もそうであったように。
あの大災害から5年経って、日本人はあらためてこの作品を通し、振り返り、涙し、癒され、また日常に還って日々頑張る。何かそういうターニングポイント的なタイミングに公開されたような気がしてなりません。
そしてモチーフとしたコンテンツがゴジラだったり君の名はだったりという戦後の日本人の心を鷲掴みにしたアンチヒーローの怪獣と、昭和の女性たちの誰もが涙したメロドラマだったりというのがね…。偶然にしては出来過ぎですよね。すごく象徴的です。

当初物語のはじめ、お互いの名前わかってるじゃん、なんでこのタイトルなのと不思議でしたが、時間軸がね…。これは切ない。ちゃんとオリジナルをリスペクトしたような冬の歩道橋の上でのすれ違いとか、演出もニクいですよね。本当に良く出来ています。
ただまあ私はこの作品を見て泣くほどピュアではないというか心が汚れているというか(^^;
入れ替わった相手を好きになるというのは幸運なことというかね。イケメンと可愛い子のコンビだからこそ美しい物語になるのよね、とちょっとどこか冷めた気持ちも(ゴメンナサイ)経済的にそれなりに豊かな家の子同士だから成立した話という気もするし、オタク文化の敗北リア充の一般化みたいな記事も読みましたが少しわかるような気もしました。まあそれはひねたババアの戯言ですので。
内容についてばかり語りましたが、絵の美しさについては言わずもがな。飛騨の大自然だったり、東京の街並みのリアル感だったり、実写を超えた美しさでした。特に夜空を駆けていく彗星の軌道の美しさときたら。邦画の名シーンに今後挙げられていくのではと思うほどの出来栄えでした。

最近の傾向として、若い人たちに人気なのか少女漫画を原作にした恋愛ものの映画が量産されスマッシュヒットを飛ばしていますが、ああいう凡百な作品らが色あせて感じるほど今回の「君の名は。」は素晴らしい。この企画が実写じゃなくて本当に良かったです。
今後この「君の名は。」と「シン・ゴジラ」の大ヒットで邦画界の潮流も変わっていってほしいなと願います。ネットの記事でも見ましたが、メディアを使った情報操作はもう時代遅れで、内容が良ければ今の時代はあっと言う間に評判が広がる。ぜひたくさんお金を出して、本物の良作を世に送り出してほしいと思います。


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