マジョルカピンク

水曜どうでしょう。大泉洋。大谷翔平。大好き

山本さん

2007-12-19 19:19:23 | 
昨日は暴れん坊ママの最終回ですでに感想も書きましたが、私にはもうひとつ気になる番組がありました。
夜8時からのNHK教育「福祉ネットワーク-作家・山本文緒-わたしの“うつ日記”」

女流作家の作品が好きで、この方の小説もほとんど読んでいます。大好きな作家です。
この方の作品は、タイトルだけを見たらロマンティックというか可愛い小説のように思えるのですが、中身は全然違います。
「群青の夜の羽毛布」は壮絶な家庭崩壊のお話でしたし。「きっと君は泣く」は、読み終わってから「お前はいつか泣きをみるだろう」という意味だったのだと悟りました。
テーマが深遠で人の心の闇を暴くような内容のものが多く、意外なストーリーの展開に驚くこともしばしば。恋愛小説の皮を被りながら実はサスペンス的だったりミステリー的だったりホラー風だったり。でもそこがこの人の小説の魅力です。評判になった「恋愛中毒」は一種のホラー小説だと私は思っています。

その山本文緒さんですが、山本周五郎賞を獲り直木賞を受賞し、その後2度目の結婚をし順風満帆だったはずですが。
直木賞受賞の短編集「プラナリア」以降発行された小説は短編集「ファースト・プライオリティー」のみ。長編にいたっては99年の「落花流水」以降発表されてておらず。変だなあと。筆を折ってしまったのかなと思っていたのですが・・やはりご病気でしたか。

大好きな作家の方がテレビに出演して自身のうつ病についてひとつひとつ言葉を選びながら丁寧にお話されているという。ちょっと昨日の夜は驚いてしまいましたね。ただこういう著名人が自分の病気のこと、そしてどうやって克服したかというお話をされるというのは、とても意義深いものがあったと思うし、同じご病気で悩んでいる方も参考になったのでは。
お話の中で
・子供の時から個人主義で人とベッタリお付き合いするのが苦手だった。
・自己評価が低く自分は小説しか取り柄のない人間だと思い込んでいた。
・自分だけが頑張っているような気になり、身近な人にでさえ「私のジャマをするな」という態度で接していた。
というところが印象に残りましたね。自分にもあてはまる部分があるから。
入退院を繰り返したりしてご病気のときは本当に辛かったそうですが、今はすっかり良くなったそうで、本当に良かったと心から思います。
司会の方が(NHKのアナウンサーの人だろうか)「以前と違って周囲の人も信じられるようになり病気を得て新しい自分に生まれ変わったとのことですが、これから書く小説は逆に平易なものになりはしませんか?」となかなか核心を突くようなことを質問していました。
でも私は、うつを体験したことによってより作品世界が広がり、またこれまでとはひと味違った文緒ワールドを味わえるのではないかと思っています。
新しい小説がとても楽しみですし早く読みたいです。期待しています。