アジアと小松

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小松基地問題研究会

自衛隊員の人権を守ろう

2012年11月08日 | 軍事問題(小松基地など)
自衛隊員の人権を守ろう

 小松基地で起きたいじめ事件について、情報公開請求をしたが、開示された38枚の文書のほとんどが墨塗りされていた(写真)。「一部を除き、当該隊員にたいする『嫌がらせ』に該当すると客観的に認められる行為は特定できない」と報告されているとおり、「嫌がらせ」があったことを認めているが、その内容は完全に伏せられている。

             


 不開示の理由は「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができ、又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、個人の権利利益を損なうおそれがあるとともに、航空自衛隊における人事管理に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、…不開示とします」というものであった。

 「個人を特定できない情報」の開示がどうして「識別できない個人の利益を損なう」ことになるのだろうか。「人事管理事務に支障があるから開示しない」とは、組織防衛のために開示しないということであり、不開示の理由にはならない。

 ドイツ憲法には、「良心的兵役拒否」の権利として、「何人も、その良心に反して、武器を持ってする戦争の役務を強制されてはならない」と規定されている。そして、兵士組合があり、オンブズマン制度があり、兵士の人権が守られている。兵士に人権が認められることによって、不当な命令を拒否し、軍上層部の暴走を止めることができる。

 情報公開制度は立ち枯れ状態になっており、このまま時間が過ぎれば、廃棄期限を迎えて、事件そのものが闇に葬られていく。臭い物に蓋をすることによって、自衛隊は旧軍のような「真空地帯」と化し、自衛隊員は消耗品のように扱われていく。自衛隊内外から、隊員の人権を守る運動が必要である。

<いじめ事件概要>
 Aさんは1994年航空自衛隊小松基地に入隊し、装備隊照準器小隊に所属していた3等空曹であるが、
2003年頃から、上司が同僚隊員にAさんとの会話を禁じたり、
通常作業から外して、1日中、市販の英語の問題集の内容や英単語をパソコンで入力させるなど、無益な職務を強制した。
2004年頃には、ホワイトボード上のAさんの名前の上に、「戦力外/役立たず」シートを貼り付けた。
2005年5月には、「続けても一生資料整理だぞ」と退職を強要された。
2006年に小松市民病院精神科に受診し、適応障害(抑鬱状態)と診断され、休職を余儀なくされたが6月ごろには改善され、「職場復帰可能だが、元の職場では再発する」との診断があり、Aさんは配置転換を希望したが、受け入れられず、
2006年7月退職せざるをえなくなった。
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