小松基地の航空機騒音は確実に増加している
石川県環境安全部が毎年発行する冊子『小松基地周辺の騒音対策』に、「小松基地修正機数の年平均値」が記録されている。手元には1983年度から2011年度の29年分の資料があり、「修正機数」の変化を検証する。
修正機数の年平均値と航空機騒音
前提として、「航空機騒音」と「修正機数」とは何かについて説明しよう。24時間を「AM0:00~7:00=N1、AM7:00~PM7:00=N2、PM7:00~10:00=N3、PM10:00~12:00=N4」に4区分する。AM7:00~PM7:00に騒音を発生する航空機1機を1、PM7:00~10:00の時間帯に飛行した航空機1機を3、AM0:00~7:00及びPM10:00~12:00の時間帯に飛行する航空機1機を10と計算する。すなわち、深夜の騒音が昼間の騒音の10倍、夕方の騒音が昼間の3倍とすることによって、住民の生活に対する騒音の影響を推し量る決まりにしている。
修正機数は「N2+3N3+10(N1+N4)」とし、たとえば、午前8時頃に8機、午後1時ころに8機、夕方7時過ぎに2機、真夜中に1機飛行したとすれば、単純計算では19機だが、修正機数は8+8+(2×3)+(1×10)=32となる
ここで言う航空機騒音は「70デシベル以上で7秒間以上継続した騒音」(冊子『小松基地周辺の騒音対策』)のことである。たとえピークが80デシベルを超えていても、7秒未満の場合は騒音としてカウントされない。この点では、住民の感覚とは相容れない。
分析のための基数設定
小松基地の滑走路はほぼ南北に位置しており、小松基地滑走路の北端には小島町があり、南端には伊切町があり、離着陸時には通過する地点なので、それぞれに常時測定の騒音計が設置されている(他にも測定地点はあるが、常時測定の態勢がとられていない)。
風向きによって離陸・進入方向が変化するので、小島町と伊切町でそれぞれ測定された「修正機数/日」を合算して、分析のための基数にすることに同意していただきたい。小島町、伊切町それぞれの「修正機数/日」でもよいが、両町のデータを合算することによってより正確に全体像を把握することができるから。(一覧表は省略し、グラフに結果のみ記載)
一覧表を見ると
一覧表では分かりづらいので、グラフにしてみた。下のグラフは29年分修正機数・日であるが、1991年を除けば、小島・伊切両町合算の修正機数は70機/日から110機/日の間を上下している(1991年は誤記録ではないか)。
一覧表に戻ると、1983~2011年度の29年間の小島・伊切両町の修正機数/日の合計は2665機/日なので、29年間の年平均修正機数は2665÷29≒91.90機/日となる。最初の10年間(1983~1992)の年平均修正機数は871÷10=87.1機/日となり、直近の10年間(2002~2011)の年平均修正機数は932÷10=93.2機/日となる。
結果の評価
両町合算の直近の10年間の修正機数の平均は全体29年分の年平均修正機数/日よりも1.3機多く、同じく直近の10年間の修正機数の平均は最初の10年間の修正機数の平均よりも6.1機多い。小松基地周辺の小島・伊切町の修正機数に現れる騒音の実態は過去よりも明らかに増加傾向にあることが分かる。
「航空機騒音に係る環境基準」(1973年)では、「第2種B 5年以内に、85WECPNL未満とすること」に定められているにもかかわらず、防衛省・小松基地は騒音抑制のための音源対策を誠実に履行していないので、修正機数/日が減少せず、むしろ増加傾向を見せているのである。
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注1:1978~80のデータは「修正機数」ではなく、「1日あたりの機数」なので除外した。
注2:1991年度の修正機数(合計56)が異常に少ない…誤記録か?
注3:小松基地管制隊「月間航空交通量報告」(2001~2009)と対比すると、月間交通量と修正機数はほぼ比例して変化しているが、2008年だけは外れている(上のグラフ参照)…誤記録か?
注4:2011年度の修正機数(合計83)はタンク落下事故後の訓練自粛の影響と推測される。
石川県環境安全部が毎年発行する冊子『小松基地周辺の騒音対策』に、「小松基地修正機数の年平均値」が記録されている。手元には1983年度から2011年度の29年分の資料があり、「修正機数」の変化を検証する。
修正機数の年平均値と航空機騒音
前提として、「航空機騒音」と「修正機数」とは何かについて説明しよう。24時間を「AM0:00~7:00=N1、AM7:00~PM7:00=N2、PM7:00~10:00=N3、PM10:00~12:00=N4」に4区分する。AM7:00~PM7:00に騒音を発生する航空機1機を1、PM7:00~10:00の時間帯に飛行した航空機1機を3、AM0:00~7:00及びPM10:00~12:00の時間帯に飛行する航空機1機を10と計算する。すなわち、深夜の騒音が昼間の騒音の10倍、夕方の騒音が昼間の3倍とすることによって、住民の生活に対する騒音の影響を推し量る決まりにしている。
修正機数は「N2+3N3+10(N1+N4)」とし、たとえば、午前8時頃に8機、午後1時ころに8機、夕方7時過ぎに2機、真夜中に1機飛行したとすれば、単純計算では19機だが、修正機数は8+8+(2×3)+(1×10)=32となる
ここで言う航空機騒音は「70デシベル以上で7秒間以上継続した騒音」(冊子『小松基地周辺の騒音対策』)のことである。たとえピークが80デシベルを超えていても、7秒未満の場合は騒音としてカウントされない。この点では、住民の感覚とは相容れない。
分析のための基数設定
小松基地の滑走路はほぼ南北に位置しており、小松基地滑走路の北端には小島町があり、南端には伊切町があり、離着陸時には通過する地点なので、それぞれに常時測定の騒音計が設置されている(他にも測定地点はあるが、常時測定の態勢がとられていない)。
風向きによって離陸・進入方向が変化するので、小島町と伊切町でそれぞれ測定された「修正機数/日」を合算して、分析のための基数にすることに同意していただきたい。小島町、伊切町それぞれの「修正機数/日」でもよいが、両町のデータを合算することによってより正確に全体像を把握することができるから。(一覧表は省略し、グラフに結果のみ記載)
一覧表を見ると
一覧表では分かりづらいので、グラフにしてみた。下のグラフは29年分修正機数・日であるが、1991年を除けば、小島・伊切両町合算の修正機数は70機/日から110機/日の間を上下している(1991年は誤記録ではないか)。
一覧表に戻ると、1983~2011年度の29年間の小島・伊切両町の修正機数/日の合計は2665機/日なので、29年間の年平均修正機数は2665÷29≒91.90機/日となる。最初の10年間(1983~1992)の年平均修正機数は871÷10=87.1機/日となり、直近の10年間(2002~2011)の年平均修正機数は932÷10=93.2機/日となる。
結果の評価
両町合算の直近の10年間の修正機数の平均は全体29年分の年平均修正機数/日よりも1.3機多く、同じく直近の10年間の修正機数の平均は最初の10年間の修正機数の平均よりも6.1機多い。小松基地周辺の小島・伊切町の修正機数に現れる騒音の実態は過去よりも明らかに増加傾向にあることが分かる。
「航空機騒音に係る環境基準」(1973年)では、「第2種B 5年以内に、85WECPNL未満とすること」に定められているにもかかわらず、防衛省・小松基地は騒音抑制のための音源対策を誠実に履行していないので、修正機数/日が減少せず、むしろ増加傾向を見せているのである。
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注1:1978~80のデータは「修正機数」ではなく、「1日あたりの機数」なので除外した。
注2:1991年度の修正機数(合計56)が異常に少ない…誤記録か?
注3:小松基地管制隊「月間航空交通量報告」(2001~2009)と対比すると、月間交通量と修正機数はほぼ比例して変化しているが、2008年だけは外れている(上のグラフ参照)…誤記録か?
注4:2011年度の修正機数(合計83)はタンク落下事故後の訓練自粛の影響と推測される。