アジアと小松

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小松基地問題研究会

『東京裁判 性暴力関係資料』資料24

2014年10月24日 | 日本軍性暴力関係原資料
『東京裁判 性暴力関係資料』
 東京裁判の原資料を読み始めたのですが、やはり原資料こそ皆さんと共有する必要があると思い、筆耕することにしました。筆耕に当たって、カタカナをひらがなに変更し、旧仮名遣いはそのままにし、名前のローマ字表記を省略し、句読点を適当に加えました。

<資料24>
書類番号330
 日本海軍占領期間中蘭領東印度西部ボルネオに於ける強制売淫行為に関する報告

 1943年の前半にポンチャナック海軍守備隊司令海軍少佐ウエスギ・ケイメイ(同人は1943年8月頃日本に帰国したり。抑留を要求し置けり)は日本人はインドネシヤ或は中国の婦人と親密なる関係を結ぶべからずといふ命令を発しました。当時全ての欧州婦人と事実上全ての印度系欧羅巴婦人は抑留されて居ました。彼は同時に公立性慰安所を設立するやう命令を出しました。是等の性慰安所は2種に分類することになって居ました。即ち3ヶ所は海軍職員専用、5,6ヶ所は一般人用で、其の中の1ヶ所は海軍民政部の高等官用に当てられました。

 海軍職員用の性慰安所は守備隊が経営しました。司令の下に通信士官海軍大尉スガサワ・アキノリが主任として置かれ、日常の事務は当直兵曹長ワタナベ・ショウジが執って居ました。日本人と以前から関係のあった婦人達は鉄条網の張り廻らされた是等の性慰安所に強制収用されました。彼女等は特別な許可を得た場合に限り街に出ることができたのでした。慰安婦をやめる許可は守備隊司令から貰はねばなりませんでした。海軍特別警察(特警隊)が其等の性慰安所に慰安婦を絶えず補充するやうに命令を受けていました。此の目的の為に特警隊員は街で婦人を捕らへ、強制的に医者の診察を受けさせた後彼女等を性慰安所に入れました。是等の逮捕は主としてミヤジマ・ジュンキチ、コジマ・ゴイチ、クセ・カズオ、イトウ・ヤスタロウ各兵曹長によって行はれました。

 一般人用の性慰安所は南洋興発株式会社支配人ナワタ・ヒサカズが経営しました。守備隊司令は民政部に命じて之を監理されました。民政部は此の経営を報国会(日本人実業家の協会)に依嘱し、ナワタが報国会の厚生部の主任であったので是等一般人用の性慰安所の主任に任ぜられました。彼は帳簿をつけたりするやうな事務的仕事には彼の会社の使用人を使用しました。毎朝、夜間の収入は南洋興発会社の出納係キタダ・カゲタカに引渡されました。

 其等の性慰安所に充てられた家屋は敵産管理人から手に入れ、家具は海軍用性慰安所にあっては海軍が支給し、一般人用にあっては報国会が支給しました。遊客は原住民である傭人に(海軍の場合には其の階級に従って)金を支払わねばなりませんでした。又その傭人は其の金を毎日当直兵曹長又は南洋興発の出納係に引き渡しました。両者の場合共3分の1は諸経費、家具、食物等を支給するため保留され、3分の2が当該婦人の受取勘定に繰り入れられました。此の中から婦人達は随時彼等各自の用に当てる為其の1部を引き出すことが出来ました。毎月の計算書は民政部の第1課に提出せねばなりませんでした。

 特警隊は婦女を捜すに当り民政部及日本人商社の全婦人職員に特警隊に出頭するやうに命じ、その婦人達の何人かを真裸にして日本人と関係していたとなじりました。次いで医師が検診をしましたが、数人は処女であったことが判りました。是等の不幸な婦人達の中何人が性慰安所に強制的に送られたか確実には判りません。婦人達は性慰安所から敢えて逃げ出さうとは致しませんでした。と言ふのは彼女等の家族が特警隊によって直ちに逮捕されて非道く虐められるからでした。例として此の様な事の為当の少女の母親が死んだことがあります。

 幸にも占領期間中引続き診療に従事することを許された在ケタパンのインドネシヤ人軍医ルフリマ博士は特警職員の命令で彼の行った是等婦人の検診に関し宣誓陳述をすることが出来ました。彼の証言によると婦人達は強制的に売淫させられたのであります。

 上記の報告は日本人戦犯者の訊問から得た報告と本件関係者の宣誓陳述とから輯録されたものであります。
 私は上記の事実は真実に上述の報告書に相違する点のない事を情報将校及日本語通訳として誓って断言致します。
 バタビヤ 1946年7月5日
 署名 ジェー エヌ・エッチ
ジェー・エヌ・ヘイヂブロエク陸軍大尉 署名
蘭印軍情報部
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