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小松基地問題研究会

20230515 戦前の「要塞地帯法」の再来、土地規制法

2023年05月15日 | 小松基地(総合)
20230515 戦前の「要塞地帯法」の再来、土地規制法

 『NHK(5/12)』、『毎日新聞』などによると、「政府は去年(2022年10月)、国境に近い離島に加え、自衛隊基地や原子力発電所といった施設の周辺から「特別注視区域」に29か所、「注視区域」に29か所の合わせて58か所を指定し、規制の対象としています」、「政府は12日に開かれた審議会で、規制対象となる区域の候補地として、新たに宮城県、新潟県、東京都、石川県、鳥取県、島根県、高知県、長崎県、鹿児島県、それに沖縄県の10都県の国境に近い離島や自衛隊施設の周辺などから「特別注視区域」に40か所、「注視区域」に121か所の合わせて161か所を示しました」、「政府は、区域の選定をさらに進め、来年ごろまでに全国で合わせておよそ600か所を指定したいとしています(2024年秋から23年度末に早める方針)」と報道した。
 内閣府ホームページには、右のようなPDF「注視区域及び特別注視区域の指定について―内閣府政策統括官(重要土地担当)」が添付されており、そのなかから石川県関係を摘記すると、下の表となる。



小松基地周辺では
 石川県内では、とくに小松基地周辺(注視地区内)住民の生活と行動を規制することになる。小松基地を発着するジェット戦闘機の爆音は耐えがたいまでに激化しており、原告団がおこなった健康影響調査によれば、騒音地域の低出生体重児(2500グラム以下)は非騒音地域の7倍、騒音地域の不眠症は非騒音地域の3倍という結果が出ている。
 このような状況だからこそ、1975年以来数千人の住民が原告となり、国・自衛隊に飛行差し止めを求めているのだが、訴訟準備のための騒音調査(発着する戦闘機の機数、機種、飛行方向、搭載ミサイル数、燃料の増槽数など)すら、土地規制法によれば違法行為にされてしまう。
 現在のところ、土地規制法の「注視区域」は1㎞以内だが、5年後の見直しで、要塞地帯法に倣って5㎞にまで拡大されれば、原告団事務局が入居している小松市教育労働会館、小松市民センター、芦城センター、寺院などの公的・私的集会施設も土地規制法の「注視区域」に含まれ、会館責任者には、使用状況を報告する義務が生じ、基地機能を阻害する行為の「準備行為」と認定されれば、取り締まり(使用制限など)の対象にされるのだ。

要塞地帯法の再来
 戦前の「要塞地帯法」(1899年法律第105号)では、国防を理由に、「要塞地帯」と指定された区域への立入り、撮影、模写などが禁止、処罰され、これが国民監視や統制に用いられたように、土地規制法は「要塞地帯法」の現代版であり、「施設機能阻害行為」として、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、トンネルを掘削して侵入を図る行為、電波障害準備行為、施設侵入準備行為などが挙げられ、「準備行為」が処罰の対象とされ、何でもかんでも強引に「準備」とこじつけて、規制することができる。
 またプライバシーに関する情報を、関係行政機関(内閣情報調査室、防衛省情報本部、公安調査庁、警察庁外事情報部など)の協力で収集するとしており、思想、信教、集会、結社、表現・学問の自由、団結権、団体行動権などの基本的人権を不当に制限することになる。

平和は、この手で作るもの
 すさまじい勢いで戦争準備が進んでいる。防衛費のための増税、殺傷武器の輸出、オスプレイの佐賀配備、敵基地攻撃能力の保有、海上保安庁との一体化、とくに台湾有事をキャンペーンしながら、沖縄(宮古、石垣、辺野古など)での基地強化の記事が毎日のように目にとまる。
 そして、馳県知事による小松基地第2滑走路設置は異常である。自衛隊機と民航機の管制総数がたかだか3万8000回程度なのに、民航機の就航が増加して、「過密」になるかのように演出して、世論を誘導しようとしている。「滑走路1本の発着回数が10万回を超えていること」が新滑走路整備の基準を無視している。これは民間機のための新滑走路ではなく、自衛隊の攻撃能力を高めるための第2滑走路である。370億円も費やして、戦争を準備するなど、到底容認できない。


<注>
「要塞地帯法」第7条 何人ト雖要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ要塞地帯内水陸ノ形状又ハ施設物ノ状況ニ付撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ為スコトヲ得ス但シ軍機保護法ニ特別ノ規定アルモノニ付テハ其ノ規定ニ依ル

「要塞地帯法」第8条 要塞司令官ハ要塞地帯内ニ於テ兵備ノ状況其ノ他地形等ヲ視察スル者ト認メタルトキハ之ヲ要塞地帯外ニ退去セシムルコトヲ得。2 陸軍大臣又ハ要塞司令官ハ特ニ必要アルトキハ前項ノ規定ニ依リ退去ヲ命セラレタル者ニ対シ要塞地帯内ニ入ルコトヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

「要塞地帯法」第3条(区域)
   第一区 基線ヨリ測リ千メートル(1㎞)以内及基線ト防禦営造物間ノ区域
   第二区 基線ヨリ測リ五千メートル(5㎞)以内
   第三区 基線ヨリ測リ一万五千メートル(15㎞)以内

(参照:当ブログ「20211111 土地規制法と小松基地」)
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