アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

情報統制から「真空地帯」へ

2016年12月24日 | 小松基地(総合)
情報統制から「真空地帯」へ

 2016年12月7日、航空自衛隊小松基地での訓練中、小銃の部品「ピストン桿(銃身内のガスを調整する部品)」と銃本体を固定する金具(長さ3センチ、直径5ミリの円筒形で、重さ5グラム)を紛失した。

 12月9日に「北陸中日新聞」が報道したが、小松基地による発表の前だったために、情報漏洩を理由にして、全隊員1800人に携帯電話(私用と業務用)の通話履歴の提出を指示した。

 12月15日付「北陸中日新聞」などが「内部調査」に関して、識者などのコメントを付して報道したところ、22日、小松基地は携帯電話の通話履歴の提出を撤回した。当初、小松基地は「任意でありプライバシーを侵害するものではない」と居直っていたが、航空幕僚長から「プライバシー侵害や犯人捜しといった誤解を与えかねない」と指導があり、小松基地は「誤解を与えかねない点があった」として、提出指示を撤回した。

 自衛隊における上級幹部から下級兵士への指示は「命令・服従」の関係が支配しており、「任意提出」などあり得ない。また、「誤解を与えた」と言い訳しているが、責任を小松基地から隊員や読者に転化する姑息なやり方で、基地の責任をうやむやにしている。政治家が失言した場合、「誤解を招き…撤回する」などと言い訳しているが同質の責任転嫁とごまかしである。

 12月24日付け「北陸中日新聞」には、スーダンPKO部隊の日報(2016年7月7日~12日)が廃棄処分されていたと報道された。この6日間は陸自宿営地に隣接するビルで銃撃戦が起きており、この事実を隠すために日報が廃棄されたようだ。そして、政府は南スーダンは安全だと強弁して、駆けつけ警護の運用をはじめたのだ。

 小松基地と南スーダンPKOに共通していることは自衛隊(政府)に都合の悪いことは外部に漏らすなという言論統制である。戦前への回帰である。野間宏が「真空地帯」で描写したように、私たちが生活している社会とはまったく別の「ルール」を自衛隊のなかに確立する過程にあるのではないか。

 「南スーダンは安全だ」とごまかして、自衛隊員を派遣し、侵略戦争の片棒を担がせ、そして使い捨てられようとしている。自衛隊員を南スーダンに送っているのは、私たちの社会(国)であり、私たちが真剣に戦争と向きあわなければ、自衛隊員は殺し・殺される状況に追いつめられるのだ。自衛隊員の命は私たちにかかっている。
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