『「BC級裁判」を読む』の154ページに慰安所で「衛生指導」をさせられたという現地の看護師(38)の証言(一部引用)がある。執筆担当者井上亮はこの証言が掲載されている原典資料名を紹介しておらず、読者は原典に当たることができない構成になっている。
この看護師とは「BC級バタビア裁判・スマラン事件資料」29ページのPabst夫人(B01)のことである。 . . . 本文を読む
三橋は裁判官でありながら、慰安所開設の4~5日後に、下田から「自発的ナラザル婦女ガ居ル旨ノ話」「慰安所開設以前ニ一名ノ婦女ガ気狂(ママ)ニナリタリ」という話しを聞き、三橋はこの女性を看護している。
このような事態にたいして、法政大学の法科を卒業し、地方法院の裁判官になり、スマラン高等法院附の大佐相当官(軍属)となっていた三橋は見て見ぬ振りをしていたのである。何ともひどい裁判官ではないか。 . . . 本文を読む
秦郁彦は2014年8月6日の『朝日新聞』にスマラン事件に関連して、「中国やインドネシアで戦犯裁判にかかった命令違反や個人犯罪の数例を引いたり、慰安所での“強制”や“軍の関与”を強調したりして…」と書いている。秦は「(スマラン事件は)命令違反や個人犯罪」としている。一方で「慰安所での強制」とは強姦のことであり、これは認めているようだ。この短い文章の中に、「個人犯罪」といいながら、「軍の関与を強調」とも言っており、相反する評価がなされている。 . . . 本文を読む
藪の中から真実を引っ張り出してやろう
秦郁彦は『昭和史の秘話を追う』(秦郁彦著2012年)第10章「スマランのオランダ人慰安婦たち」のなかで、スマラン事件について論述している。
秦は岡田慶治少佐が遺した『青壮日記』とジャン・ラフ=オハーンとエリー・ブローグの証言を比較して、「岡田の将校クラブにおける見聞とオヘルネの最悪体験の間には埋めがたい落差があり、中間の2カ所も考慮すると、真相は『藪の . . . 本文を読む
権力者が保身のために必ずばらまくウソを見抜くというメディアとしての役割を果たそうとするならば、朝日新聞は「慰安婦」問題について責任をもって論陣を張るべきである。そうしたジャーナリズムがなくなると、権力の乱用は避けられなくなってしまう。 . . . 本文を読む
『週刊文春』では藤岡信勝は「こうした例は、一部の軍人が犯した犯罪行為として裁かれているものであり、日本軍が加担した`証拠`ではない」と書いている。藤岡が言う「こうした例」とはインドネシア・スマラン事件のことであり、「一部の軍人の単独犯行」なのか、「日本軍が組織的に加担」していたのか、強制動員真相究明ネットワークが発行した『BC級バタビア裁判・スマラン事件資料集』にもとづいて、3慰安所の設置のいきさつを、軍関係者、慰安所管理人の証言で検証してみよう。 . . . 本文を読む
「慰安婦」問題が直接的に韓国の社会問題になったきっかけは、1990年1月梨花女子大学教授の尹貞玉さんが『ハンギョレ新聞』に執筆した「"挺身隊"怨念の足跡取材記」であった。……この時期はどのような時代だったのか。世界史的には1989年ベルリンの壁が崩壊し、1991年ソ連が崩壊していくまっただ中である。 . . . 本文を読む
2012年12月に第2次安倍内閣が発足し、2013年4月に、西尾幹二は外国特派員協会で記者レクチャーをおこなった。その後、安倍は「(村山談話を)そのまま継承しているわけではない」、そして5月には橋下大阪市長は「慰安婦制度は必要だった」と、安倍内閣発足にあわせるかのように、歴史修正主義が跋扈し始めた。
ここでは、安倍や橋下に「アジネタ」を提供している西尾幹二の主張を、「2013・4・4記者レクチャー」を俎上に載せて批判する。 . . . 本文を読む
『オランダ人「慰安婦」ジャンの物語』と『母と子のナチ強制収容所』
『オランダ人「慰安婦」ジャンの物語』(1999年、ジャン・ラフ=オハーン著)
石川県立図書館の蔵書検索で、1999年に『オランダ人「慰安婦」ジャンの物語』(ジャン・ラフ=オハーン著)が出版されていることを知った。スマラン性奴隷事件に関する「バタビア戦犯裁判資料」と重ね合わせて読んだ。
著者 . . . 本文を読む