■Rainbow Seeker / Joe Sample (abc)
A-1 Rainbow Seeker
A-2 In All My Wildest Dreams
A-3 There Are Many Stops Along The Way
A-4 Meoldies Of Love
B-1 Fly With Wings Of Love
B-2 As Long As It Lasts
B-3 Islands In The Rain
B-4 Together We'll Find A Way
ソウルジャズ~フュージョンをやらせては当代の人気バンドだったクルセイダーズの立役者、ジョー・サンプルの訃報に接しました。
もちろん故人はモダンジャズの正当に位置するキーボード奏者であり、モード手法も駆使するアドリブプレイでストロングスタイルを好むジャズ者をも納得させるに十分な実力は、きっちりそっち方面のアルバムを吹き込んでいる事にも明らかです。
しかし、大方のファンにとってのジョー・サンプルのソロアルバムといえば、1978年に発売された本日掲載のメガヒットLP「レインボウ・シーカー / 虹の楽園」に代表される「ひとりクルセイダース」の如き、泣きメロとソウルフルなフィーリングを全面開放したものだと思います。
なにしろ全篇、日本人好みというか、とにかく琴線に触れまくりのメロディがテーマ~アドリブ、オカズやメシの分け隔てなく溢れてますからねぇ~~♪
それはA面ド頭のアルバムタイトル曲「Rainbow Seeker」からして、重いビートと予想外とも言える繊細なアレンジに彩られた刹那の曲メロが流れた瞬間にツカミはOKでしょう♪♪~♪
ジョー・サンプルのピアノの響きやアドリブフレーズの上手さに加え、サポートメンバーの演奏もアルバム全てにおいて素晴らしく、そこにはクルセイダーズの盟友たるスティックス・フーパー(ds,per)、当時のレギュラー助っ人だったバリー・ロジャース(g)、ポップス・ポップウェル(b) の他にもスペシャルなゲストとしてクレジットされたディーン・パークス(g)、レイ・パーカー(g)、バリー・フィナティー(g)、デヴィッド・T・ウォーカー(g)、ガーネット・ブラウン(tp)、アーニー・ワッツ(sax)、ウィリアム・グリーン(fl)、ロバート・ブライアント(tp)、ポーリーノ・ダ・コスタ(per) 等々の名手が手抜き無しですよ。
中でもミディアムスローな哀愁曲「In All My Wildest Dreams」で堪能出来るデヴィッド・T・ウォーカーが十八番のジェントルなプレイは、ジョー・サンプルのエレピにジャストミートの快演ですし、ホーンセクションが弾けるアップテンポの「There Are Many Stops Along The Way」でモッサリ型チョッパーを炸裂させるポップス・ポップウェルと幾分のモタモタ感が逆に心地良いスティックス・フーパーのドラミング、そしてしぶといバリー・ロジャースのギターワークは、完全にリアルタイムのクルセイダーズとして爆発的にウケましたですねぇ~~~♪
あぁ~、当時を完全体験された皆様には説明不要かと思いますが、フュージョンというジャンルがジャズ喫茶に集うようなイノセントなファンにも認知されたのは、おそらくこの「レインボウ・シーカー」があってこそかもしれません。
実際、堂々と鳴らしていた店が多かったのは偽りの無い現実でしたし、普段はジャズを聞かない、あるいはジャズを未体験だった音楽ファンをそこに惹きつけた功績(?)さえも無視出来るものではないと思います。
それは美メロが満載のセンチメンタルな「Meoldies Of Love」や調子良くて楽し過ぎる「As Long As It Lasts」、ちょっぴりオトボケな「Islands In The Rain」の親しみ易さにも顕著なんですが、その反面、ちゃ~んとジャズ本来のガチンコ魂を滲ませているのがB面初っ端の「Fly With Wings Of Love」で、実はご存じのとおり、この曲タイトルからしてマッコイ・タイナーがフュージョンに接近して放った大ヒットLP「フライ・ウィズ・ザ・ウィンド」を意識したという推察は言わずもがな、イントロのアレンジが、これまたモロパクリなんですから、これをパロディと解釈するのは易いんですが……。
ミディアムテンポでの以降の展開は全く奥深い、ジョー・サンプルならではの「ジャズの世界」で、プロ・アマを問わず、夥しい追従者や信奉者を出現させたのは、その個性ゆえの事でしょう。
ですからオーラスに置かれた「Together We'll Find A Way」でじっくりと聴かせてくれる正統派ピアノの世界も侮れません。
そりゃ~、確かにピアニストとしての評価はマチマチでしょう。
しかしメリハリの効いたアコースティックピアノでのタッチは大いに魅力ですし、エレピにおけるジェントル&メロウな世界も個人的に大好き♪♪~♪
似た様な事をやっていたボブ・ジェームスよりも、ソウル性感度の高さが実に良かったんですねぇ~~♪
ということで、この大ヒット盤で広く認知されたジョー・サンプルは同時並行してクルセイダーズの人気を支える活躍があり、その源のひとつが、このアルバムの全てを作曲した才能だったとすれば、以降に作られていく自己名義の作品が所謂「二番煎じ」という誹りも難なくクリア出来ていたわけです。
特に翌年発売された「カーメル」は正統派の続篇として、「レインボウ・シーカー」にシビレたファンならば必須アイテム♪♪~♪
告白すればサイケおやじは、むしろそれを愛聴し、収録の「A Rainy Day In Monterey」はエレピによるジョー・サンプル得意の「節」が満喫出来る大名演ですから、ぜひとも併せてお楽しみ下さいませ。
そして故人の遺徳を偲びつつ、本日は失礼させていただきます。