OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

もうひとつの悲しき願い

2014-09-21 14:47:12 | 歌謡曲

■悲しき願い c/wエブリシングス・オール・ライト / ケン・サンダース (日本ビクター)

現在でもハーフ系の俳優やタレント、そして歌手は大勢活躍していますが、サイケおやじの世代の皆様であれば、本日掲載のシングル盤を出したケン・サンダースはお馴染の顔かと思います。

なにしろ黒人の血が入ったルックスは正直、昭和40年代の我が国では印象が強過ぎたわけですが、しかし映画やテレビドラマでは必要不可欠なキャラであった事も確かで、それはお叱りを覚悟で書かせていただければ、当時の日本では「混血」という存在が「在日」と同じく、侮蔑の対象であった現実とは無関係ではありません。

そのあたりの感覚は現在からはあまりにも想像し難いでしょう。

しかし同時に「混血」には日本人には無い、ある種のカッコ良さが確かにあって、それゆえに芸能界やファッション界で表立った活動も出来ていたわけですし、憧れの対象という以上に様々な場面で存在感を発揮していた事を忘れてはなりません。

さて、そこでケン・サンダースは俳優として、劇中では不条理な役柄も多かったんですが、それでも必要以上の卑屈さや喜怒哀楽は見せないという芯の強い演技は流石です。

そしてもうひとつ凄いのが、歌の実力!

ご紹介のシングル盤A面曲「悲しき願い」は昭和40(1965)年に発売されたもので、当然ながらタカオ・カンベの訳詞による尾藤イサオとの競作ながら、独特の厚みがある声質を活かした節回しや粘っこいノリは、まさにソウルフルですよ♪♪~♪

それを「黒人の血」云々で語るのは容易かもしれませんが、サイケおやじには決して楽ではなかったと思われるケン・サンダースの生き様がナチュラルに滲んだものと思いたい気持ちがあります。

むしろ「歌の実力」と書いた前述よりも、「味わいの深さ」と言うべきかもしれません。

ということで、ケン・サンダースが何枚レコードを吹き込んだのかは知る由もなく、私有盤もこれっきりなんですが、もっともっと聴いてみたい「歌手」のひとりです。

ちなみにB面収録の「エブリシングス・オール・ライト / Everythings All Right」も日本語詞によるカバー物なんですが、ノリの良い和製ポップスとエレキ歌謡の間に誕生したが如き、これも「ハーフ」と書けば顰蹙でしょうか?

しかし独特のタメが効いた、ケン・サンダースならでは台詞回しが歌の世界で活きた快唱だと思います。

あぁ~、他にどんなレコードがあるのかなぁ~~。

本当に気になる歌手のひとりがケン・サンダースというわけです。

コメント (2)
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