■Miami Pop Festival / The Jimi Hendrix Experience (Sony Legacy)
01 Introduction
02 Hey Joe
03 Foxey Lady
04 Tax Free
05 Fire
06 Hear My Train A Comin'
07 I Don't Live Today
08 Red House
09 Purple Haze
※Bonus Performances
10 Fire (Afternoon Show)
11 Foxey Lady (Afternoon Show)
既に昨年の発売だったのに、ど~いうわけか、世間一般での盛り上がりがイマイチだったのは、ジミヘンがすっかり過去の人と言うよりも、公式発掘プロジェクトをウリにしながらも、供用された音源に新味が足りなかった所為でしょうか……。
実際、この1968年5月18日のマイアミ・ポップ・フェスのライブステージは、これまで夥しいブートのネタ元になっていましたし、内容の充実度も賛否両論というのが、これまでの経緯でありました。
しかし今回はきっちり、ジミヘン所縁のエディ・クレーマーが責任者ということで、これを書いているサイケおやじ本人からして、ブツを早々にゲットしていながら、今頃になって戯言云々という態度は申し開き出来るものではありません。
特筆すべきは、やっぱりリマスターの秀逸さで、それは冒頭のバンド紹介MCに続くチューニングパートからエッジの鋭い音作りに驚嘆! 中でもバスドラの音圧の高さには身震いしてしまったですよっ!
もちろん音源の基本はモノラルなんですが、付属解説書によれば、リアルタイムの現場録音もエディ・クレーマーであった事はプラスのベクトルと思います。
それは皆様ご存じのとおり、1968年のジミヘンは欧州~アメリカの巡業に明け暮れながら、何故かこれまで、この時期のライブレコーディングが公式にはなかなか発表されず、なんとか10月のウインターランド公演だけが認められるわけですが、実はレコード会社は相当に録っていたという推察は易いんじゃ~ないでしょうか?
どうやらエディ・クレーマーの意向(?)としては今後、こうしたライブ音源を順次(?)出していくらしいですよ。
で、肝心の中身については、ジミヘン(vo,g) 以下、ノエル・レディング(b,vo) にミッチ・ミッチェル(ds) という初代エクスペリエンスですから正直、この頃には幾分のマンネリ感も滲んでいる気がしないでもありませんし、演奏そのものにも、手慣れた雰囲気がある事は否定出来ないと思います。
しかし思わせぶりなイントロがニクイばかりの「Hey Joe」、ドシャメシャな「Foxey Lady」の破滅型ロックフィーリングは、やっぱりカッコE~~!
そして「Tax Free」の混濁したハードロックジャズな世界観(?)は唯一無二でしょう。後半のジャムパートの凄みは本当に強烈ですよっ!
また、突っ込みまくりの「Fire」におけるギターにしても、そこに典型的な「らしさ」爆発のジミヘン節が楽しめるんですから、たまりません♪♪~♪
その意味で共演者の頑張りも聴き逃せず、「Hear My Train A Comin'」でのミッチ・ミッチェルのドラミングは、ダレそうになる演奏を見事にドライブさせる原動力だと思いますし、ステージ全篇の随所で意外とプリティなコーラスを披露(?)してしまうノエル・レディングも憎めませんよ。
ですから後半に入っての「I Don't Live Today」に感じられる幾分の倦怠を逆手に活かしたような「Red House」が、これぞっ! スローなブルースロックのお手本に仕上がっているのは結果オーライ以上の嬉しさです。
ただし、不遜にも、そこには既に述べたような「手慣れた雰囲気」が漂うのは……。
それは「Purple Haze」にも同様で、ルーズなグルーヴという感じ方も無いではありませんが、ジミヘンにしてはイマイチどころかイマニぐらい、冴えていないんじゃ~ないでしょうか?
もちろん当時も今も、他のミュージシャンにこれほどの演奏が出来るかといえば、それは否であって、だからこそ常にジミヘンにはエポックメイキングな何かを期待している裏返しの愛情と、言い訳を弄したくなるのですが……。
するとボーナストラックとしてのセカンドショウからの音源が相当に素晴らしく、熱く暴走した「Fire」と捨て鉢な感じの「Foxey Lady」を聴いてしまえば、なんとかこっちも完全版を強く望みたくなりました。
極言すれば、このオマケがあれば、本篇最後の尻つぼみ(?)は帳消しと思います。
ということで、まだまだジミヘンには凄い「お宝」が、どっさりある事は言わずもがな、しかし、あれやこれやの注文や切望を書くことは今回、あえて控えさせていただきとうございます。
そして虚心坦懐に、このマイアミ音源の公式盤CDを謹聴する姿勢こそが、不遜な気持ちを抱いてしまったサイケおやじのとるべき態度と思うばかりなのでした。